50周年記念展示


 日本シダの会の創立50周年記念大会が2002年8月2日から6日まで開かれました。
講演と研究発表、レセプション、展示、エクスカーションと内容は豊富で、その中から展示の一部です。

オキナワウラボシ イリオモテシャミセンヅル

 オキナワウラボシは沖縄以南、小笠原以南の熱帯地域に広く分布する種類で地域によって様々な変異を示します。葉を乾燥させるとクマリンの良い香りがします。ウラボシ科にはこのような種類がいくつか見られ、標本をつくるときの楽しみにもなっています。
 イリオモテシャミセンヅルはシダでは珍しいツル性のもので観賞価値も高い種類です。これも八重山以南にひろく分布しています。この仲間のカニクサはアメリカで帰化してやっかいもの扱いされているということです。庭でも一度定着すると根絶やしにするのが大変ですが、この種類は割合におとなしいような気がします。あくまで栽培下ですが。

エチゼンシノブ ヒメイノモソウ

 エチゼンシノブは今回展示された株で最も注目されたものです。福井県で見つかったことからこのように呼ばれていますが、種名は不明です。見つかった場所は山裾の何の変哲も無い場所です。タチシンブによく似ていますが、Onychium cryptogrammoides の可能性も捨て切れません。はたしてどちらでしょうか。
 ヒメイノモトソウは奈良県と三重県の一部に産するシダでこの株はたいへんな大株です。三重県でしか私は見ていませんが個体数も少なく貧弱な株が点々と見られるだけでした。奈良県側にはそれなりの個体数を見ることができるということですが個体数が少ないことは変わりません。絶滅が心配される危急種とされています。また奈良県側ではイノモトソウとの雑種と推定される個体もみつかっています。
今回胞子が配布されましたのでこれからあちこちに普及することと思います。

シノブ斑入り ノコギリヘラシダ

 夏の風物詩である吊りしのぶに使われるシノブには八重シノブ、獅子葉シノブなどの園芸品種が知られていますが、これはその斑入り個体です。斑入りとは言ってもその斑模様はあまりはっきりとはしていません。
 ノコギリヘラシダは自然雑種の可能性があるシダで関東以南の暖地に分布しています。かなり稀な種類で私自身、自生する姿は数ヶ所でしか見たことがありません。

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