Begoniaの世界
 Begoniaは原種が全世界に2000種あまり知られ、交配種も数多く鉢物として、花壇やプランターを飾る花として多くが利用されています。一般に耐寒性の弱い種類が多いのですが、中国原産のシュウカイドウは耐寒性だけでなく耐陰性もあるため、庭にひろく植えられています。
Begoniaの原種
 Begoniaの原種は全世界の熱帯・亜熱帯を中心に分布し、その生態も多種多様です。それらの中からいくつかを。
B. brevirimosa B. sp .(China) B. goegoensis U-025
B. listida B. paurensis B. velloziana B. venosa
 以上の名前の中でB. sp. (China)のsp.はspeciesの略で、Begoniaではあるがまだ種小名までは同定できていないということです。すなわちこの場合は中国産のBegoniaの一種ということになります。
またU-025のUはunidentifiedの略でこれもまた種小名まで同定できていないということです。ナンバーはアメリカベゴニア協会の通しナンバーで、この場合はアメリカベゴニア協会で登録された未同定種のナンバー25の個体ということになります。
Begoniaの園芸品種
 原種の中にはそのままでも観賞価値があり栽培されている種類も多いのですが、これらの原種が様々に交配されてまたたくさんの園芸品種がつくられています。これらの園芸品種はその形態的な特徴やどのような原種が用いられたか、栽培特性などからいくつかの系統に分けられています。そしてその分類方法も日本ベゴニア協会、アメリカベゴニア協会の方法などいくつかあります。
しかしこの分類は絶対的なものではなく厳密にはあてはまらない種類も多く、園芸的に便宜的に分類したものとして捉えたほうが良いものです。しかし栽培には参考となることも多く、便利なものです。

(1)球根ベゴニア

 地中に球根(塊茎)をつくるタイプのうち南米産の数種類が複雑に交配されてできた豪華な花を咲かせる一群のグループです。育種に使われた原種が2000m〜3000mの熱帯山地に産するために低温のみならず高温も嫌うために日本の低地では夏の高温のために栽培が一般化していません。しかし温度と日照時間をコントロールすることにより周年開花が可能で観光農園ではさかんに栽培されているグループです。
 
 上記は直立性の球根ベゴニアで最も一般的に栽培されるものです。花径も10cm前後のものから30cmぐらいになる大輪のものまであり、花形も様々なものが栽培されています。
 左はハンギングタイプの球根ベゴニアで茎が垂れ下がるものでこのようなバスケットに植えられて上から吊るして鑑賞されます。花は小輪から中輪のものが多く、たくさん咲いた姿は見事です。
球根ベゴニアは日本の低地では栽培するのが困難なため一般家庭ではほとんど普及していません。しかし、高冷地や北海道など夏の暑さが厳しくないところではそんなに栽培は難しくないのでこれから普及するかもしれません。
また以前には大暑性の球根ベゴニアをめざしてシュウカイドウなどを用いて交配がおこなわれましたが残念ながら未完成に終わっています。
(2)木立性ベゴニア
 木立性ベゴニアには様々なタイプが知られていますが最も一般的なものが矢竹型のものです。温室がなくても栽培できるために一般によく栽培されています。夏の暑さにも耐えますが少し涼しい所では夏も盛んに成長して花を楽しむことができます。
‘紅小町’ ‘Carallina de Lucerna’ ‘月宮殿’ ‘Mrs. Hashimoto’(Pink)
‘流れ星’ ‘Sinbad’ ‘Tingley Mallet’ ‘Withlacchee’
(3)根茎性ベゴニア
 地表を這って伸びる多肉質の根茎を持つグループで最もたくさんの園芸品種が知られているグループです。このタイプの原種が非常に多いことに加え、小型で葉の美しい種類が多いことからも好まれる理由なのでしょう。
一般に高温多湿を好む種類が多いのですが、さすが日本の低地の高温多湿には弱く、融けるようになくなってしまうこともよく経験することです。
‘Emerald Lacewing’ ‘Enech’ ‘初雪’ ‘Imatonic’
‘国竜’ ‘Lospe-tu’ ‘Mintie Bryant’ ‘Stallion’
(4)レックスベゴニア
 東南アジアに産するBegonia rexにさまざまな種類が交配されてできた品種群で、その形態的な特徴などから根茎性ベゴニアとは区別して扱われます。そのために中には根茎性ベゴニアと区別しにくい品種も含まれます。
B. rexは割合に耐寒性があり、冬季に休眠させれば凍らない程度の低温にも耐えることができ、そのためにこの品種群は割合に耐寒性のあるものになっています。とはいっても最低5度ぐらいに保たねば葉の美しさはかなり損なわれてしまいます。
‘Helen Lewis’ ‘Lavender Glow’ ‘Poseidon’ ‘Salamander’
‘渦紅葉’ ‘Charm’ ‘Red Rocket’ ‘銀雪’

 以上以外にもセンパフローレンスベゴニア、冬咲きベゴニア、エラチオールベゴニアなどの系統が栽培されていますが、それらのほとんどは営利的に花壇用苗として、あるいは鉢物用として栽培される品種群です。

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