ノカンゾウは北海道を除いて全国的に分布する種類で、いわゆる普通種ですが、どこでも見られる種類ではありません。国内ではいくつかの変種に分類されていますが、その差異は微妙で学者によって見解はまちまちのようです。
岐阜県の飛騨地域では水田の畦道などに割合に多く見られ、変異を楽しむことができます。
この二つはその中でも典型的なタイプでこの地域で普通に見られるものです。特に左のタイプは多く、多くの場所ではこればかりで群落をつくっています。
またこの地域ではノカンゾウに混じってヤブカンゾウも多く見られます。
飛騨地域のノカンゾウ群落でおもしろいのは場所によって様々な変異が見られることです。右の株が見られた所では以下のようなものも見ることができました。
これらは飛騨地域のある場所わずか20mぐらいの範囲の畦道に見られるものです。左は細弁でヘメロカリスの改良種にあるスパイダー咲きに似た株です。また、右は褐色の斑紋が見られるものでこれもヘメロカリスの改良種に良く見られるものです。改良種にときに見られる特徴がこのような野生株にも見られるということは感慨深いものがあります。
この場所では以下の株も見ることができました。
左の株はいわゆるゼンテイカ(ニッコウキスゲ)のタイプで、念のために根の様子を見たところ紡錘状のふくらみはありませんでした。これだけでゼンテイカとすることはできませんが、興味深い群落ですのでこれからも継続的に観察していこうと思っています。
右の株はノカンゾウではなく山形県温海産のトビシマカンゾウ?だろうと友人から贈られた株です。花茎が1.5m以上にもなります。