自然保護協会・海上の森・万博問題第二次小委員会「環境影響評価に係る実施計画書の問題点と提言の概要」(14項目にわたって提言)
環境アセスメントの仕組みにかかわる問題(1998.6.1)
1.代替案の検討と調査範囲の拡大
調査範囲を拡大し、複数の代替案を検討する環境影響評価を実施すべきです。
2.万博・住宅・道路の三事業の総合的な影響評価
全事業を一体として評価した場合、自然環境に甚大な影響を及ぼすことがあり、三事業の総合的な評価が不可欠です。
3.三事業の環境影響評価を審査する第三者機関としての合同審査委員会
環境影響評価の科学性・公平性を審査する第三者機関が必要です。
4.社会経済・環境経済的観点からの事業評価
社会経済及び環境経済的観点からも事業計画の必要性・妥当性を評価すべきです。
5.住民参加と公開性を伴ったスコーピングの運用
住民参加と公開性をともなったスコーピングの運用を実現し、今後の環境影響評価の模範となる前例を残すべきです。
6.一般市民にとって公正で分かりやすい準備書のあり方
準備書は、一般市民にとって公正で分かりやすいものとする。
実施計画書の具体的な内容にかかわる問題
7.実施計画書の科学的な根拠と信頼性
実施計画書の科学的根拠、信頼性を認めることができません。
8.評価と環境保全措置
評価と環境保全措置に対する方針がまったく不明です。
9.代償措置
移植などの代償措置を安易に導入することは、環境保全措置の趣旨を曲解しています。
10.モニタリング調査
「事後調査」に関する記述がわずかで、事業者側の方針が一切不明です。
11.「生物多様性の確保及び自然環境の体系的保全」の調査・予測手法
生態系の構造と機能を総合的に調査・解析し、評価する視点がありません。
人と自然との生態学的かかわりに関する調査及び予測・評価の内容が欠落しています。
A,B,Cゾーンをセットとして総合的に評価する必要があります。
12.「人と自然との豊かな触れ合い」の調査・予測手法
人工的なレクレーション施設での諸活動を「人と自然の触れ合い」としてとらえており、本来の自然の中での直接的な触れ合いで得られる人々の感動や自然に対する畏敬の念、それを通して培われる自然観や生命観の大切さが認識されていません。
「景観」の項目が、単なる視覚的な眺望景観に限定されています。
13.ゾーニング
環境影響評価実施前にゾーニングを決めてしまうことは、環境影響評価制度の形骸化につながります。
14.万博の想定入場者数と自然環境への負荷
集中的な施設建設が計画されているAゾーンに対する「人の入り込み」の影響を評価する項目がなぜか欠落しています。