日本科学者会議

12回総合学術研究集会

  「里山の自然環境と開発」

     愛知万博における環境アセスメントの問題点

八田耕吉(名古屋女子大学)

 

 「自然との共生」をめざす「愛知万博の環境影響評価実施計画書」には、はじめに「海上の森」ありきの代替案の検討すらない事業者アセスという手法の欠点のほかに、里山に対する評価と生態系の保全に対する認識に大きな間違いがある。

I.はじめに結論ありき

1.     はじめに「海上の森」ありき

2.方法書・準備書・評価書の作成主体を事業者が行うとしている(事業者アセス) 

3.相変わらずの事業をやりながらのアセスである(事業アセス)

4.     予測に対しての不確実性の存在

5.     植生や地形・水系などの生態系を無視したゾーニング

 

II.環境評価手法の誤り

1.     現行調査の問題点

A.調査の不備

B.詳細な採集データなどの公開を

2.     アセスメントの手法の不備

A.住民参加の保証が非常に希薄

B.代替地などの検討が含まれていない

C.関連事業との連携がなされていない

  D.モニタリング調査結果の活用が保証されていない

 

III 生態的視点が欠落している

 1.海上の森の特性

 A.都市に近い里山自然に対する無理解。

 B.歴史的、文化的、心理的な価値の評価がなされていない。

2.     里山生態系に対する誤った理解

  A.多様性に対する考え方の誤り

  B.里山は多様な生態系の集まり

  C.普通種が貴重種に

  D.水域の保全に対する認識の無さ

 3.多様性保全策の誤り

A.保全地域が小さい

B.移入・移植の危険性

C.自然を壊してつくる実験場はいらない