2005年日本国際博覧会に係る
環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その2)
環境影響評価追跡調査(モニタリング調査)報告書(平成14年度)
に対する意見書
八田耕吉
計画熟度に対応して実施する追跡調査の評価項目の中に、会場内の施設建設工事や催事場、展示場が入っていない。平成14年6月に出された環境影響評価書の時点では、全く上物の規模が大まかに記されているだけで、巨大観覧車やスクリーンなど具体的な展示などが最近公表されていることに対して新たな負荷が予測される。計画熟度にあわせて、このような新たに負荷が予測される雲区においても追跡調査項目に入れるべきである。
ゴンドラ設置に伴う環境影響調査の評価項目にプライバシーなどの精神的な負荷に対する項目がかけている。頭の上を往復車両の通過が8秒に1台通過することに対して精神的な圧迫は、如何に見えないように工夫がされても下にいる住民に対しては大きな脅迫感は拭い去ることはできない。ましてや、地震災害時や、事故などへの恐怖感は大きいものと思われる。
大気汚染地が浮遊粒子状物質などバックグラウンド濃度が上まわっているので、本事業の寄与率は低いと思われるとされているが、その値を今以上に高めないように配慮して行わないようにするべきであって、汚い川にゴミを捨ててよいという考え方が許されるものではない。
ヘリコプターによる騒音は周辺の住宅地等での最大騒音レベルが83dB 以下とされているが、乳幼児や、病人にとっては耐え切れる範囲とは思えない。合わせてヘリコプターが巻き起こす風の影響は予想以上に大きなものとなる。風に対する評価を行い、対策を十分にとる必要がある。ゴンドラ稼動時の騒音が50dB,音源のパワーが94dBと原動機稼動の騒音は住宅から離れており影響はほとんどないとかかれているが、風による架線のうなりは、数値(周辺住宅地では48dB)以上に大きく感じられることは良く知られていることである。夜間の風による音や車の騒音が静かな夜に大きく聞こえ、眠れないことも周知の事実であろう。弱者に対する配慮が乏しい。
オオタカの繁殖期には一部(6号、7号支柱)の工事は行わないとして、オオタカの営巣に配慮したように思われるが、その前に工事をやっていたり、測量などによる人や車両の入り込みはオオタカへの追い出し行動になっていることを全く理解していない。彼らは年間を通して住み心地のいい場所を探して飛翔しているのであって、繁殖期になってどうぞお入りくださいといってもくるものではないということを理解していない。誰か話を付けに行くのでしょうか。計画路線と営巣木には一定の距離があり、営巣木及び営巣中心域の直接改変は回避されているものと予測されたとかかれているが、どれぐらい離れているのかということがわからないままにそれを鵜呑みに信じろというのはいかがなものでしょうか。営巣場所を示さないまでもどれぐらい離れており、採餌場所などの情報を示して、影響がないという根拠を示すべきである。営巣地D、Eの場所の特定を避けている割には、6,7号支柱の工事の延期をすることにより、心亡き者へオオタカの営巣場所を教えることになっているのでは。
モニタリング調査で一番観察例が多いと思われるハッチョウトンボの生息地(調査地点が明確にされていないため)がゴンドラルートに接していると思われる。モニタリング調査において各調査地点の年変動が大きいと書かれているが、それが何によるものか明らかにされていない(少なくとも気候による違いでないことは確かである)が、工事や調査の影響であるとすれば、ゴンドラにおいても影響は否めない。