日中文化協会2月例会　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2002．2．5

西南中国の環境

名古屋女子大学　八田耕吉

中国の地方おいても急速に広がっている公害の実体を、雲南省および貴州省環境保護局との共同研究をとおしてみたことを中心に、急速な市場経済の導入によりもたらされた水質汚濁、大気汚染、ゴミ問題などの生活環境・衛生について紹介する。

I．農村の生活

1．飲み水（水源）

貴州省(1987年)　浅井戸62．9％、深井戸12．1％、河川水23．1％、湖沼1．5％

1人1日平均給水量　67リットル／日／人（日本200リットル）

2．トイレ（厠所）

公衆トイレ普及率　５．４基／万人

3．生活ゴミ（垃扱）

全国　有機ゴミ（40％）　炊事２９．３％、紙７．８％、草木２．６％

無機ゴミ(６０％)　灰４８．２％、陶器４．５％、ガラス、２．８％金属１．８％

II．水質汚濁

1． 内陸部農村小都市における水質汚濁

カンナ（芭蕉）麺デンプン精製排水　COD　5000ｍｇ/ｌ

2．上水道（飲用自来水）

貴州省普及率　42．7％、都市部　90．6％（完全処理3．6％）

昆明市　上水道整備事業(JAICA)、水路延長97km､予想供給量4．8億m^３

3．水源ダム (水庫、水電帖)

天生橋ダム　 総貯水量137億ｍ^３の多目的ダム。最大堰堤落差181m、提長470ｍ、発電量52．3億kwh、送電線総延長1,791km

日本の円借款(ODA開発途上国援助)1,200億円、住民3万人が強制移住

4．富養化対策

　　　昆明湖　　アオコの除去400万m³（武漢水生研究所）、流入量9億m³

　　　百花湖　　曝気塔（日本環境省）

5．下水

昆明市　　コークスガス製造工場の廃水処理事業など､現在下水処理施設が４箇所､建設中が3箇所あり､完成すると市街地からの排水の80％が処理

貴陽市　石炭脱硫を使った肥料工場の従業員住宅（1,400人）の生活廃水処理（日本環境省、アジア開発銀行）40m³/日

III．大気汚染

1．室内被爆

石炭７１％、石油６．５％、天然ガス１．７６％、水力２０．４％

2．石炭火力発電所、製鉄所

昆明市　　市街地の一般家庭、工場、食堂は石炭、練炭から天然ガスに切り替えた

貴陽市　　円借款で住民の90％にガス、電気コンロを普及

96年　汚染度200〜300ppm、2000年97ppm、目標値50ppm

省全体の排出量の30％を占める、大型に切り替え（5万kwhから20万〜40万ｋｗｈ）、：SO2、粉塵（ＦＰＭ）、CO₂の91％削減

3．自動車排ガス

全国自家用車　普及率　８．６１台／万人

昆明市　　排ガス規制対象、16万台（25万台中）適合（1999年世界花博覧会）

IV．ゴミ

1．家庭ゴミ

収集車毎日8時から10時、中間処理施設排出量0．6kg／人、6元／家庭／月

貴陽市生活毎年４％増、1998年1100t/day、40．1万t/Y、

2000年1190t/D、43．4万t/Y、2008年1640t/D、59．9万t/Y

2．埋め立て処分場

容量0．564t／m²／月、含水率28．63％、灰分78．93％（95年80％以上）

3．産業廃棄物

火力発電所の石炭灰の埋め立て

4．リサイクル

再生紙2万トン／年　市民より1．5角／kg、製紙工場1元/kgで買い、1．8元で売る

ビニール、シート100トン／年、95年以降年平均8％増加、0．4トン／m³から1トン／m³、金属、ビン、缶類はほとんど回収