2000年7月30日

シンポジューム「愛知万博会場問題」            

 

青少年公園の自然環境評価には環境アセスメントが保証されていない

八田耕吉(万博アセスに意見する市民の会)

 

1.                         「青少年公園の自然」に対する評価が低い

A.開発された公園には自然がないのか

ビオトープとしてのトンボ池

B.水辺環境

小鳥など小動物の憩いの場

C.残された雑木林湿地

 里山型生物の最後の砦(末端現象

 

2.                         共通言語を共有しょう(生態学用語の誤用)

A.普通種希少種

貴重種とは単に珍しいとか、数が少ないといったものではなく、何らかの理由で生育・生息が危惧される種である

現在、日本に残された自然の多くは、里山で代表される都市近郊の地域特有な生態系であり、その特有な生態系を構成するごく普通な種の絶滅が危惧されている

里山が貴重な自然になり、そこに棲むギフチョウやムササビ、オオタカなど多くの生き物たちがすみかを奪われ、希少種、絶滅危惧種、危急種に

B.多様性とは

特異性の高い集団がモザイク上に入り組んだ植生環境の駆け引きの結果として表れるもので、その境界に多様性を高める林縁環境を生み出すものであって、ただ単に種類数が多いとか、貴重種が多いというものではない

 生態系を支える種の減少は、生態系の安定度を下げ、崩壊しやすくする

 C.自然との共生(里山の維持と開発)

大型機械などによる開発は時間、労作力、エネルギー量などスケールが違う

D.保全

たとえ似た植生環境はつくり出すことができても、そこに棲む多様な生物相を再現することはできない(地域生態系

 

 

3.調査

 A.既存資料現地調査

  調査の不備を補うにはお粗末な既存資料

相変わらずのリストと注目すべき種の羅列

個体の保護では種の維持は図れない

B.アセスメント

 調査期間が短いなど、現況調査としては不十分

 BIE(国際博覧会協会)の指摘はクリアーしたのか

 青少年公園のアセスは評価書の修正で済むものではない

 

4.自然保護と保全

A.生態系の保護生態系保全は違う

B.保全措置

本来、代償措置は代替地などの検討の結果、最終的に回避・低減できないときにおこなわれるものであって、効果の確証などが実証されて、初めておこなうものである。

C.生態系の保全

上位種の欠損は、特定種の大量発生やその生態系を構成する種の減少を起こす

生態系を構成する種の減少・単純化は、生態系の安定度を下げ、崩壊しやすくする

生育・生息環境は、保全に欠かすことのできない必要な条件であっても、決して十分な条件ではありえない

D.広い保全地域を

生態系の保存はその特殊な植生や貴重種の保存だけではなく、回りに開発の波が押し寄せている海上の森のような陸の孤島化したところでは、そこにいる生物たちは急激な変化が起こったときには逃げ場を失う危険性が高い

E.安易な移植・移入の危険性

特定な植物の移植は技術的に可能であるかもしれないが、定着の保証はない

動物はその環境が気に入らなければ我慢するより逃げていくであろう

ギフチョウの食草であるカンアオイを移植しても、移植の成功の保証はない

他地域からもってくることによる遺伝子の撹乱

 

疑似自然に昆虫たちは戻ってこない

逆に、気に入った環境があれば自然に生物は戻ってきて、勝手に棲む