第9回日本環境動物昆虫学会年次大会(1997.11.2)一般講演


   東海地方におけるオオシロカゲロウの発生

                  八田耕吉(名古屋女子大学・家政学部)

 オオシロカゲロウ(アミメカゲロウ)は全国40河川をこえる地域(渡辺、八田等)で大量発生が確認されており、愛知県でも失作川や庄内川に加えて、木曽川(1990)や愛知用水(1994)、昨年からは長良川においても確認された。
 演者は1991年より名古屋市の西部を流れる庄内川において、オオシロカゲロウの大量発生における同調発生機構の調査を行ってきた。1991年は9月11日に、1992年は8日が発生のピークで、9月初句からの約10日から2週間で発生が終わった。1993年は冷夏で9月12日より発生が始まり、17日にピークに達したが、その後もだらだらと続き10月初旬まで続いた。猛暑の1994年では9月1日にピークに達し、10日にはほとんど見られなかった。このような羽化日の違いは幼虫時代の積算水温量に大きく影響を受けていることが考えられ、冷夏における発生パターンは水温の低い関東以北の大量発生地域とよく似ている.夏期低温による幼虫の成長の遅れに伴って羽化成虫は小型の個体が多く、発生の後期にば充分卵が成熟していない個体が目立った。

 幼虫の成長と水温との関係を見るため、河口からの距離が25km、35km、50kmの地点での幼虫と、気象条件の違う年度間の比較を幼虫と成虫で検討を行った。