弔辞
環境万博を謳う愛知万博で、環境アセスメント調査の名のもと、多くの生き物たちの命が奪われてきました。愛知万博では環境保全そのものが宣伝材料に使われ、自然環境の保護でなく、環境産業の保護、促進が目的に使われ、多くの命が奪われています。
アセスメント調査により多くの生き物が、大量に採集され、殺されてきました。海上の森では2、300種を越す昆虫が記録されていますが、夜間採集や誘引採集によるカンボジアやチェチェン共和国での昆虫版大量殺戮が行なわれました。また、絶滅危惧種のクサナギオゴケを市民が発見すると、種の同定のために採取することを求め、標本にしてコレクションとして保存したい研究者の欲望が露呈しました。さらに、測量調査期間中には、シデコブシの伐採やスズカカンアオイを踏みつけるという現場を市民から指摘されました。ムササビはテレメトリーをつけられ、糞や食痕を調べられたり、リスだと決め付ける研究者が出たり、鉄塔から飛ぶ姿をビデオで写されるなど、日常の生活や繁殖行動の観察と称したプライバシーの侵害は、屋根の上にゴンドラを通して、曇りガラスにするから大丈夫だという感覚を生み出すのでしょう。
会場の造成や建設に伴い保全措置としての移植が行なわれ、移植することが環境への配慮とされています。環境万博は、「自然の叡智」や「自然との共生」が絵に書いた餅となり、映像万博と揶揄されるまで落ちました。ホトケドジョウやゲンジボタル、イタセンパラの保護と称した水槽や人工池への軟禁は、自然繁殖や自然産卵妨害と自由を阻害する北朝鮮での拉致事件をも思い起こさせます。
生き物達への虐待はさらにひどくなり、長久手会場の木々は、造成工事期間中、枝葉や根を切られ、手足をもぎ取られたミイラのように縄の包帯でぐるぐる巻きにされ、丸太ん棒と化したモンゴリナラや多くの樹木が痛ましく移植されている様はまさにルワンダやポルポト時代をも思い起こされる虐待です。救出作戦と称して、宣伝に使うために、自然の大切さを教えられた子供たちを動員しておこなったダルマガエルのお引越しは、アウシュビッツやイラクの捕虜強制収容所を思い起こさせる18倍もの過密状態での虐待であり、子供たちの純真な心を踏みにじる行為は許されません。
多くの時代遅れの万博により犠牲となった、海上の森や旧青少年公園の生き物たちの冥福を祈り、大量殺戮あり、虐待あり、オオタカや生き物を愛する人たちの排除などへの嫌がらせ、ハラスメントあり、何でもありの愛知急迫万博に対してきちんと総括し、このような過ちを二度と起こさせないことを誓い、哀悼の言葉とします。
2005年1月30日 アセスメントに意見する市民の会 八田耕吉