17の詩

                                                    加藤  けい








うそ

ひとりで いれたら いいと 思う
  顔 ひきつらせずにすむ
ひとりで いれたら いいと 思う
  誰も 傷つけずに すむ
ひとりで いれたら いいと 思う
    なにも 望まずに いられる
ひとりで いれたら いいと 思う
  ・・・・・・・ かんたん で





黒猫   

黒猫に なりたい
夜の闇になじみ  影ひかず歩く黒猫に
どんな色にも染まることのない 黒
一色の瞳  無口な黒
ひとり ゆうゆうと のし歩く 黒猫
そんな 黒猫に なりたい




薔薇


はで好きの花 かわいそうな薔薇
人に 寄り添わないのが 
おまえの 優しさと ゆうもんだよ
おまえが 風と 戯れるだけで      
おまえの 棘は ひとを 傷つける     







おもひ

深入りせぬように 
あいしすぎぬように 
よりそわず つれそわず
引き離されても 痛めるところのないように
風に 吹かれて 髪のからみあうよな
ひとときだけを 大切に するように なった


  



信条           

声を出して 挨拶するの 好きじゃない   
どっかで 返事 期待しているようで    
なんだか なれあい うそみたい      
だから                      
会釈に 応えてもらえると           
信じてしまう                   
単純に                      



白心    

トンネルを ぬけると
なんいもない 空白な世界が
むかえては いないかと
つかみどころのない恐ろしさに
髪まで ひえる




愚痴

暗い自分を 隠そうと
明るくふるまっているうちに
笑わないあなたは  あなたじゃないと
たまに 顔出す ほんとの私を
私より私を知った顔して
否定しにくる やさしい友達




おもひ

言葉で いいあらわせるものにしか
ほんものがないとは 思わない

おしゃべりな 私は・・・・
                   嫌いだ





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