Memo
水彩画Memo








  

 
 
 1 透明水彩について

 2 絵具について

 3  絵 具の透明度

 4 水彩用紙について

 5 水彩筆について

 6 絵の寸法について 

 7 額について


水彩画の描き方については多くの参考書が出版されていますので省略します。

ここでは水彩画で最も基本で大事な用具について解説します。


1 透明水彩について

  水彩絵具には透明水彩絵具不透明水彩絵具があります。一 般に水彩と言う場合は透水彩絵具を使用して描く
 
 ことを言います。
透明水彩絵具は、細かい絵具顔料を使い顔料のすきまから下の色が 透 けて見えるようにしたもので、

 下の色と上の色が視覚的に混合して澄んだ感じの色を与えます。一方、不透明水彩絵具は 上に塗った色が下 の色を完全に

 覆ってしまい、上に塗った色の反射光だけになります。下の色を隠すことが出来る点は油
絵 具に似ていています。一般に

 学校で使用される水彩絵具は不透明水彩絵具が使われていますが、専門家の使用する
不 透明水彩絵具はガッシュと呼ば

 れます。


 この絵具の特徴から透明水彩は水彩の独特の透明感と色彩効果を生み出し、水彩画の魅力になっ ています。

2 絵具について

  水彩画の本場はイギリスで、 絵具もウインザー・アンド・ニュートン(W&N)社製の絵具が最高と言われ ています。

 しかし、この絵具は高価ですので一般には国内製のホルべ
インなど の絵具が多く使われています。

 絵具の色の名前は各社それぞれで統一されているわけではありません。コンポーズやパーマネントの名称 は色の特性に与え

 られたものでなく、合成色という製法を表示 しているものす。


(1) チューブ入と固形絵具

  水彩絵具には、絵具がチューブに 入っているものと小さな皿に固まって入っている固形も のとあります。 チューブ入

  りは絵具が軟らかくて水に溶けやすくパレットに絞り出して使います。絵具は空気に触れ
る と固まりますが そのまま使

  い続けることが出来ます。固形は水をつけた筆で絵具をとかしてパレット
に移して 使います。

  チューブと固形の比較では、チューブの方が色が鮮やかで色数が 豊富にあります。(ホルベインの場合ですと、固形24色

  に対しチューブ84色とチューブ の方が色数が豊富です。)しかしチューブの
場 合は他にパレットが必要になりますが、

  固形の場合は絵具とパレットのセットになった携帯用の小型
のものもあり便利で す。

(2) 色の選択

  市販されているチューブ入りは、箱に入っているものとバラのものとありま す。 箱入りは12色、18色,24色など

  ありますが、出来れば24色のものを購入し、その後必要な色を揃えるなり入れ替えていくのが良いと思います。

  ホルベインの24色の箱には次の色が入ってい ます。


チャイニーズホワイト
セルリアンブルー
ジョー ンブ リヤン No.2 コバルトブ ルーヒュー
パー マネントイエローレモン ウルトランマリン デー プ
パー マネントイエローデープ プルシャンブルー
イエローオーカー   ミ ネラルバ イオレット
イエローグ レイ ローズマ ダー
コ バルトグ リーン ク リムソンレーキ
パー マネントグリーンNo.1 バー ミリオン
パー マネントグリーンNo.2 ラ イトレッ ト
ビ リジャン ヒュー バー ントシェンナ
テー ルベルト バー ントア ンバー
コ ンポーズ ブルー アイボリー ブラック


(3) パレット上の絵具の配置


   不透明水彩絵具は絵を描く度に使う色をパレットに出しますが、透明水彩絵具は事前に全ての色をパレットに出しておき

  ます。上の表(ホルベイン24色)は箱に入っている順序ではなく、パ レット上の絵具の配置の一例で示してあります。

  パレット上の絵具の配置の仕方については特に決まりありませんが、自分が使いやすいように位置を決めて おくことが

  大切です。また同色系をまとめて配置するなどの配慮が必要です。                           

3 絵具の透明度

  絵具 の混色方法として、パレット上で色を混ぜ合せる方法と紙の上で色を重ね合わせる方法があり ます。前者を混色

 後者を重色と言います。混色は油絵や不透明水 彩でも用いられる方法ですが、
重色は透明水彩のみの特徴で他の絵 具では

 出来ません。透明色の絵具を塗り重ねると深い透明感のある色調になりますが、
不透明色を重ねると浮き上 がった濁った

 色になります。
下塗りは透明度の低い色を使い上塗りから仕 上げにかけて透 明度の高い色を使っていくのがポイントです。

 透明水彩絵具でも全ての絵具 が透明ではありません。透 明度の高い色や透明度の低い色などあり、個々の色についてある程

 度理解しておく必要があります。一般に広く使われている色の透明 度は次の通りです。


   半透明      レモンイエロー、  カドミウムイエローディープ、  イエ ローオー カー、 パー マネントグリーンNo1、

            セルリアンブルー
 カ ド ミウムレッドディープ、 ライトレッド、

   透  明   サップグ リーン、 オリーブグリーン、 ビリジアンヒュー、 ウルトラマリンディープ、

             コバル トブルー、  プルシャンブルー、 パーマネントバイオレット、 ローズマダー、

            クリム ソン レーキ、
 バーントア ンバー、 セピア 、  ペインズグ レー、


4  水彩用紙に ついて
   
  水彩で一番大切な画材は紙ではないかと思います。水彩用紙はいろいろありそれ ぞれ特徴がありますから、同じように描

 いても違った絵に仕上がる場合があります。従って、出来るだけいろいろな紙を使って自分に合った 紙を見つけることが大

 切ですし、紙の特徴を知って描くことも必要です。

  考慮すべき項目として撥水、発色、にじみ・ぼかし効果、乾燥速度、 絵具の定着度な どがあります。

 これらの違いによって描き易いか、描き難いか、絵の仕上がりも変 わってきます。
他 に考慮する項目として紙の価格があり

 ます。比較的値段の安い紙を選ぶことも用紙選択の一つです。


  各種の水彩用紙がハガキサイズまたは F0サイズのスケッチブックで販売されていますので、これらで試してみるのも

 用紙選択の一つの方法です。


 (1) 紙 目
   
  紙目とは紙の面の凹凸のことで、細 目,中目,粗目などがあります。細目の紙は表面がスムース で絵具の落ち着き

  どころが少なくどうしても色がムラになりがちです。このため筆にあまり水を含ませず素早く塗る必要があ ります。 逆に

  表面がザラザラした粗目の紙は凹部に絵具が落ち着くので、筆にたっぷり絵具を含ませて塗り進める事がで きます。


  しかし、細目、
粗目の紙はそれなりに技術を要する紙ですので、一般的に は中目の紙を選ぶのが無難とされています。

(2) 紙の厚さ

  紙の厚さは紙の重さに比例することから、1平方メー トル当りの重さで表示します。この数字が大きいほど紙が厚いと

  言うことになり、厚さが0.25mmですと重さは 250gになります。薄い紙は水を含むと波をうつようになりますが、厚け

  ればこのようなことはありません。水彩用には200g以上の紙が望ましいと言われます。


(4) 市販の水彩紙
 
  画材屋さんの棚で一般的に見られるスケッチブックには次のようなものが あります。

A アルシュ
細 目; 185g,  300g(中目相当)
粗 目; 185g,  300g 
A ホォントネー 細 目; 185g,  300g 
粗 目; 185g,  300g
A ウォータフォー ド

中 目; 300g
   (ナチュラル、ホワイト)
A ア ウ"ァロン 中 目; 300g
A ストラスモア・ インペリアル

中 目; 300g
B ワトソン
中 目; 195g(厚口 )   239g(特厚口)
B ホワイトワトソ ン 中 目; 300g
B デネブ
中 目; 300g
B モンバルキャン
 ソン
中 目; 300g
B ラングトン
中 目; 300g
B コットマン 細 目; 230g,中目; 230g
粗 目; 230g
B クレスター 中 目; 210g(中厚口)
B ワーグマン 中 目(ウラ 細目);170g(厚口)
B ケナフ 中 目; 239g(特厚口)
B アルビレオ 中 目; 218g
(Aはコットン100%、Bはパルプ又は混合)

  アルシュはフランス製で理想的な最高級水彩紙として有名ですが値段が高いのが難点です。プロが一般 に使っている水彩

  紙としては
アルシュが約50%、他はワトソン、ス トラスモアインペリアルと言った紙が多いようです。

5 水彩筆について

   水彩用紙の次に大事なのは筆ではない
と 思います。水彩には腰が強く、水含みの良い筆が必要です。水彩筆は日本画や

 書道の筆と製法が違いますので、 やはり水彩画には水彩画用の筆を使うことをお進
め します。

  筆の素材には天然毛が最適とされていますがナイロンを使った安いものまであります。水彩筆として最高なの はコリン

 スキー(シベリアンミンクの尾の毛)とセーブル(あかてんの毛)を使った筆ですがこれらは非常に高価です。こ のため天

 然毛とナイロンと組合せて価格を安 くした筆が出回っています。筆の太さは号数で呼び数字が大きいほど太くなります。

 4〜10号程度の筆を2〜3本程度用意すれば十分だと思いますが、この中の1本は天然毛の筆を入れときたいも のです。

 また、油絵用の毛の硬い
豚毛の平筆を用意すると修正用に便利す。

6  絵の寸法について 

  絵の寸法は号数で表示され、0号から始まり数字が大きくなるほど絵は大きくなります。更に F(人物型)P (風景型)

 M(海景型)の三種類が各号にあり、長辺は同じですが短辺が短くなり横長になります。これにより絵の大きさを F 8 号と

 か100の絵などと言います。F が人物用と決まったものでなくどの寸法を用いるかは自由で、スケッチブックは 10号ま

 でありますが殆んどが F サイズとなっています。

7  額について

   絵は額に入れて観賞します。額に収めるのは絵と周囲とを切りはなして見るためですが、これにより絵は引き立ち 見栄え

 のするものになります。

  水彩画の場合、額に必ずガラスを入れます。(ガラスは破損し易く重いことから最近ではアクリル板の使用が多 くなって

 います。)ガラスは画面の保護のほか、水彩画の画面には艶がありませんので幾分濡れた色に見せる効果がありま す。 そし

 て
ガラスが直接画面に当たらないようにマッ トといって薄い色のついた ボール紙で6〜9cm幅の枠を入れます。

  
額 縁を購入する場合、額縁屋さん に絵を持って行けば絵に合った 額縁を選定して額装してくれま す。また、汎用性のあ

 る額縁やマットの色を選ぶこ とも考慮する必要があります。