Y談。(part-2)
結城 | 「政人クンは、秋色っぽいんだけどさぁ。達彦クンって、なにっぽい?」 |
翔 | 「……ヘンなこと、聞いてくるね、おまえ」 |
結城 | 「つか、写真集。どのイメージで撮るかが、決まらないんだよねぇ」 |
翔 | 「あいつは、レッドだろ?」 |
結城 | 「レッド? 季節じゃなくて?」 |
翔 | 「ちなみに政人はブラックかな」 |
結城 | 「黒って感じはしないんだけどな」 |
翔 | 「いや、あれはブラックっぽい」 |
結城 | 「……んじゃ、和真クンは?」 |
翔 | 「あいつは、ピンクだろ」 |
(レッド? ピンク? ブラック? それって……) | |
達彦 | 「和真が、ピンク……?」 |
和真 | 「なんで、おいらがピンクなわけっ?」 |
翔 | 「おまえなんて、全身、ピンクって感じじゃ……。おいっ!」 |
達彦 | 「ぴ、ぴんく……」 |
クルクルクル……バターン! | |
和真 | 「た、たつ? どうしたの!」 |
政人 | 「こいつには、刺激が強かったんですよ」 |
翔 | 「やっぱ訂正。おまえ、ブルーだわ」 |
政人 | 「はぁ?」 |
翔 | 「で、トモ。おまえはイエローな」 |
(レッドにブルー、イエロー、ピンク?) | |
翔 | 「んじゃ、俺がブラックかぁ、部外者だし」 |
結城 | 「なあ、それってもしかして」 |
翔 | 「戦隊モノの話だけど?」 |
政人 | 「意味深な言い方するから……(ため息)」 |
翔 | 「だってさ。熱血レッドに、その親友っぽいクールなブルー。 |
あとは、おちゃらけイエローに、敵対ブラックだろ?」 | |
和真 | 「な、なんでおいらだけ女性なわけっ!」 |
翔 | 「癒し系ってか、和み系だろ? ホワイトでもいいけど」 |
和真 | 「だったらせめて、ホワイトのほうが……」 |
翔 | 「しかし、こいつってやっぱ危険人物?」 |
危険人物は、床の上。レッドらしく鼻血まみれだ。 | |
政人 | 「大丈夫ですよ。こいつの自制心、ものすごく鍛えられてますから」 |
和真 | 「そうだっけ? なにでタツ、そんな鍛えたの?」 |
翔 | 「……わかった、そうだな」 |
結城 | 「うん、俺も納得」 |
和真 | 「なんで? なんでー?」 |
(こんな天然なのと一緒にいたら、なぁ……) | |
深いため息が、部室全体を包み込んでいた。 |
バンドの写真集を撮るための、下準備。
想像力ゆたかなのも、不幸だね。
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