※ 陰陽師(博雅×晴明) 道具を使っての行為を描写したシーンあり。
逢 想
「ひろ・・・ま・・さ・・っっ」
熱を帯びた声が晴明の口から零れる。
薄暗い濡れ縁をほのかな月明かりが照らす。
いつも漢と酒を飲み交わすいつもの場所。
上は単のみ身に纏い、柱に背を預けている。
単を身に纏っているとはいえ、もはや衣服としての機能を果たしていない。
晴明は瞳を閉じ、己の手指を胸や脚、腹部に這わせる。
「んっっ・・・ふっ・・っっんっ・・・」
物足りなさを覚えるが、一度萌えてしまった身体はどうにも止まらない。
刺激を求め、快楽を求め、手指が蠢く。
不器用で優しく、憎めない漢の姿を思い描く。
漢の手指の動きを想像し、中心の熱が高ぶってゆくのを感じた。
晴明の震える手指がその場所へと伸ばされる。
『晴明殿!!!』
「・・!?」
高ぶった熱は解放されぬまま、突然行為は中断された。
戻り橋を誰かが通過したらしい。
晴明は小さく舌打ちし、床に散らばる衣服を身に纏った。
またかよと思うような用件で、晴明は珠庵寺という寺に案内されていた。
寺の境内にて奇怪な現象が起きて、気味が悪いということらしい。
近頃似たような事件(?)が多く、晴明も溜息しか出ない状態である。
「で、その奇怪な現象とはどのようなものなのでしょうか」
晴明の問いに、珠庵寺の住職が困惑の表情を浮かべる。
「いかがされましたかな、住職殿」
「それがですな、祭で叩く太鼓の稽古をしておるのですが、どうにも奇妙で・・・」
「奇妙?」
「はい。二・三日ほど前からでしょうか。まるでバチが生きているかの如く痛がって逃げるのです」
「ほぅ・・・それは真に奇妙でござりまするな」
とある思いが脳裏をよぎり、手渡されたバチをひと睨みしてみた。
微かに感ずる漢の気。
晴明は2本の指を立て、唇に充てると呪を唱えた。
それからそのバチに指をかざし、スッと撫ぜあげる。
「!? ・・・やはり、そうであったか・・・」
晴明がニヤッと微笑む。
「何かお分かりになられたのか、晴明殿」
「いえ、まだわかりませぬ」
住職の問いに晴明は表情を素に戻し、首を横に振った。
軽く舌打ちし、バチを強く握り締める。
『お前、今度はバチかよ・・・』
『晴明〜・・・俺は一体なぜ毎度このような目に遭うのだ』
『そのようなこと、オレに聞いてもわからぬよ』
周りに悟られぬよう語りかけてみれば、案の定あの漢の声がする。
すすり泣く声はただ『何故』を繰り返す。
『晴明、なんでもしてやるから早く俺を元に戻してくれ』
『ほぉ・・・なんでも・・・か・・・』
『おお!』
再び晴明の口端がクイッとあがる。
「住職殿」
「な、なんでございましょうか、晴明殿」
「このバチ、しばらくお貸し願えませぬかな」
「は?」
「持ち帰って色々と調べたいことがござります」
晴明は住職の返事を待たずして、バチを手にスッと立ち上がった。
一礼をし、いつの間にか迎えに現れた蜜虫と共に晴明はその場を去っていった。
主の帰宅に反応して、晴明邸に明かりが燈る。
蜜虫は黙って酒の席の準備をし、そのまま蝶の姿となって宙を舞いながら姿を消した。
「ふっ、勝手知ったるなんとやらだな」
堅苦しい衣服を脱ぎ捨て、身軽な格好となった晴明はいつもの場所に腰を降ろした。
目の前の書斎兼仕事場にあの漢が寝かされている。
またもや家臣たちが運び込んだらしい。
漢が晴明より位が上でなければ、とっくに不法侵入の件を帝に訴えていることだろう。
だが晴明も馬鹿ではない。
こんなことだろうと予想はついていた。
「お前はこんな時にしかオレの元には来てくれぬのだな」
小さく溜息をつき、手にした杯に酒を満たす。
漢の身動きすらしない姿を見やり、それを口に含んだ。
「さて、お前。どうしてくれよう・・・」
指を2本立て、唇に充て短く呪を唱える。
それから寺より持ち帰った太鼓のバチにその指を滑らせた。
途端に意思を持ったかのようにバチは晴明の手の中より飛び出した。
『晴明! お前なら俺を元に戻すことなど容易きことであろう。早く元に戻してくれ!』
バチから漢の悲痛な叫び声がする。
だが晴明は口端を持ち上げ、意地の悪い笑みを浮かべたまま酒を口に運ぶ。
『なぁ、晴明よ! なんとか申せ!』
「煩いな。少しは黙れよ博雅」
杯の酒を一気に飲み干し、晴明はバチをひと睨みした。
「だいたい、お前は一体何を考えておるのだ。厄介ごとばかりオレの元に運びおって」
『せ・・晴明?』
漢の知っているいつもの晴明ではない。
様子がおかしい。
「お前の家臣まで、お前に何かあるごとに勝手にオレに擦り付けてくる始末・・・」
再び杯に酒が満たされ、晴明の喉へと注がれる。
「オレはお前のなんなのだ・・・なぁ、答えてみよ」
『せっ・・せいめっ・・っっ』
カッシャンと音を立て、晴明の手から杯が床に落ちた。
かわりにその手にはバチが握られた。
朱色の唇から紅い舌先がチロっと覗く。
その紅き舌先がバチを舐りはじめた。
チュパチュパ唾液で濡れた音が濡れ縁に漏れ聞こえる。
『や、止めよ。晴明・・・!!!』
晴明の口腔内をバチが出し入れされる。
徐々に高ぶる気分に、晴明の息遣いも荒くなっていく。
口腔内でしっかりと湿らされたバチは銀色の糸を伴い、その唇を離れていった。
『馬鹿なことは止せ! このようなことせずとも良い! 晴明!』
晴明は片手でもどかしそうに指貫を紐解く。
月明かりに照らされ、熱の高ぶった中心が露になる。
先ほど行為を邪魔され開放出来ずにいた熱。
もう一度口腔内でバチに唾液を纏わりつかせ、それを下の口へと宛がった。
「くっ・・っっ・・・ふっんっっ・・・・」
『せっ・・・せいめいっっ! 止せ! 晴明!!!!』
漢の叫びは最早晴明に届いてはいない。
何かにとりつかれたように晴明の瞳は虚ろで、バチを揺らしながら差し込もうとしている。
唾液に濡らされているとはいえ、解されていない小さな入り口。
苦痛に目尻に涙が浮かぶ。
「ひろまさぁ・・・」
『!?』
愛しい漢の名を口にした瞬間、潤んだ瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
バチに両手が添えられ、先端が飲み込まれていく。
「っっ・・んんっっ・・///」
さすがに全部は飲み込めず、迫り出した部分は余計羞恥心を煽る。
中心部からは先走りの雫が滲み、床に染みを広げていた。
晴明の手指が中心へと伸びていく。
ぬるっとした感触に触れ、晴明の身体がビクッと震えた。
「晴明・・・」
「!?///」
背後から突然漢の声。
抱きすくめられ、一瞬羞恥に顔が赤らむ。
「ひ、博雅!? オレはまだお前を・・」
「俺も驚いておるよ。気がついたら目の前にお前が居たのだ」
晴明の肩を掴んで振り向かせ、唇に唇を重ね合わせた。
片手を滑らせ、晴明の中心のものを掌に握り込んだ。
久しぶりの博雅の手の動きは想像とは遥かに違う。
節張った大きな掌がぎこちないながらも確実に晴明のモノを解放へと導く。
「くっっ・・・!!! ・・・!?」
あと少しで到達するというのに、博雅の掌は突然行為を止めてしまった。
「ひ・・ひろ・・ま・・・ァゥッ!!!」
次の瞬間、下の口に収められていたバチに強い衝撃が加わった。
博雅が迫り出していた部分を握り、グリッと回転させる。
「やっ・・やめっっ! ひろまさっ!」
「こんな物を使ってまでこの俺の身代わりにしようとしておったのだな」
晴明の口からはただ悲鳴が零れるばかり。
博雅はそんな晴明を見つめながら、さらにバチに力を加えた。
「ならば、俺など必要ないということ・・・」
「ち・・ちが・・っっ・・・そうじゃなっ・・っっ」
涙目になりながら、晴明が必死に衝撃に耐える。
いつもの余裕のある晴明の姿はない。
「お前に逢いたかったのだ・・・」
晴明は博雅の首に腕を回し、ギュッとしがみついた。
「その為にオレは・・・オレはお前を無意識に色々な物に憑依させてきた・・・」
「晴明・・・そうであったか。俺はお前に寂しい思いをさせてしまっていたのだな」
『済まぬ』と呟き、晴明の身体を抱きしめた。
「博雅」
互いに軽く口付け、博雅は晴明の涙を指先で掬い取った。
「すっかり萎えてしまったな・・・今宵は俺が責任を取ろう」
博雅の視線の行き先。
晴明も今更ながら己のあられもない姿に、隠し様もなく、開き直ってしまった。
ようやくいつもの晴明に戻ったようだ。
内心その様子に博雅は安堵の笑みを零した。
「晴明よ、覚悟は良いな」
「ああ、こちらも手加減はせぬよ・・・」
クスッと晴明が微笑む。
博雅に抱きすくめられ、その広い胸元にすっぽりと収まった。
月明かりがほのかに濡れ縁を照らし出す。
床に転がる太鼓のバチ。
二人の行為は飽くことなく明け方まで続く・・・。
by. ユウキ様
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陰陽師サイトS.P.Y.様で、30000HIT! そのリク権にていただいた作品です。
「博雅くん憑依シリーズ」微エロで可だったはずなのですが、なぜかしっかりR指定(笑)
ユウキ様、ありがとうございました!
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