今日はまどかと、のんびりしながらの公園デート。
 ワイワイ楽しい所へ行くのも好きだけど、
 こうやって、ゆっくり過ごすのも大好き。

「あいつらなぁ〜『大阪弁のお兄ちゃんやー』言うて、いつも懐いてくんねん」

 芝生の上で座っている私に歩み寄りながら話しかけてきた。

「うん、知ってる。 まどかあの子達と居るとき、いつも優しい顔だもん」

「そ、そうか? まぁ、懐かれるとカワエェしな」

 「よっ」と声を出したかと思うと、私の隣に座り、背伸びをしながら芝生に横たわる。

「はぁ〜〜〜。 しかし子供は元気えぇなぁ。 しんどいし……」

 私はまどかの顔を覗き込みながら話しかけた。

「フフフ。 言葉ではそんな事言ってるけど、すごく楽しそうだったよぉ?」

「まぁなっ」

 空を見上げていたまどかの瞳と、見つめ合ったほんの一瞬の間に、
 まどかの腕によって、私の身体は既に抱き寄せられていた。

「ま、まどか?? 人に見られちゃうよ……」

 人前で抱きしめられる事に未だ慣れない私。
 慣れない……と言うよりも、恥ずかしさの方が勝ってしまう。

「えぇよ〜。 減るもんやないし。
 それに、とイチャイチャしたいしなぁ〜」

 子供みたいに嬉しそうに話しかけてくるまどかの顔……。
 恥ずかしかったはずなのに、まどかの言葉一つで私の羞恥心は消えていく。

「……こうしてると、気持ちえぇよなぁ」

「うん」

「このまま時間が止まればえぇのに……」

 まどかの腕に力が入った。 それは、想いが流れ込んできそうなほどで……。

「……うん。 そうだね」

 私は、更にまどかの胸へと顔を埋めた。


***


「お! 起きたんか?」

「あ、え……っと、ゴメン」

 自分の措かれている状況がようやく呑み込めた。
 あまりにもまどかの腕の中が心地よくて、それに付け加え天気もよく、
 風まで気持ち良かった為、そのまま眠ってしまったみたい。

「なにも謝る事ないし。 それにのカワエェ寝顔が見れたしな!」

「ずっと起きてたの?? だったら起こしてくれれば良かったのに」

 慌ててまどかは手を左右に振った。

「俺も少し前まで一緒に寝とったし、起きたのもほんの少し前やから」

「そうだったんだ」

 ホッとしたのもつかの間。 この体勢って……。
 まどかの膝枕で寝てる私がいた。
 ふ、普通は逆だよね……。

 散々、このままの状態で話続けてから言うのもなんだけど、
 ……かなり、恥ずかしい!!

「なんやぁ〜、もう起きるのかいな。 チューするにはベストな体勢やったのに」

 まどかは急いで起き上がる私に話かけ、

「それならこうや!」

 ……と、座りながら後ろから抱きしめてきた。

 まどかの足、腕の中にすんなりと納まってしまう私の身体。
 小さいよなぁ……と、つくづく感じてしまう。
 けれどコンプレックスは無かった。 むしろ、それが好きなほうで……。

は、小さくてホンマ可愛えぇよなぁ〜」

 まどかは猫のように、私の頬や首元に、顔や頭を近づけて触れてくる。

「まどかったら、くすぐったいよ」

 少しはにかみながら、まどかのサラサラした髪に、そっと手を当てて……撫でてみた。

「俺もカワエェやろ〜〜〜?」と、更にじゃれるまどか。

 互いに笑い合いながら近づいていく顔……。
 気が付けば、まどかと見つめ合っていた。

 更に近づいていく顔。
 それは、唇が触れるか触れないかの距離……。

「大阪弁のお兄ちゃん、彼女とキスするみたいだぞ?」
「コラ、黙ってろよ。 邪魔しちゃ悪いよ……」
「でももうキスしそうじゃんかぁ〜」

 …………。

 まどかも私も、子供たちが近くにいたことに気付かなかった。
 確かに二人の世界に入っていたというか、なんというか……。

「お前ら何言うてんねん。 子供はそんな事言わんでえぇのやぁ〜!」

 まどかは立ち上がると、子供たちの所まで走っていく。

「わ〜。 逃げろぉぉぉ!!!」

 キャーキャアと逃げ回る子供たちの声に混じりながら、
 まどかの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

 キス出来なかったことは正直少しだけ残念だったけど、
 それでも楽しい1日だった事には違いない。

「……フフフ」

 私は、まどかを見つめながら笑い、微笑んだ。


***


「今日は楽しかった。 ありがとね」

 家まで送ってくれたまどかに答える。 本当に、とても楽しい1日だったから……。

「そんなん、こっちこそごっつ楽しかったで!」

「あ……あと、今日出来んかったぶんな」

 言い終えたまどかは、私の唇にそっと触れた。

「ほな、また明日な!」 私に背を向け、手を挙げながら帰って行く。

 ……キス出来なくて少し残念だった。
 なんて考えていた事、まどかには内緒にしておこう。

 そんな思いを胸に、
 私はまどかの大きな背中を、見えなくなるまで見つめ続けた。
 軽く触れた、唇の温もりを指で感じながら……。

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<あとがき>
お恥ずかしいかぎりです///滝汗)
素敵なイラストにお話を付けさせて頂いたのですが……(不安)
かなり、展開的にもありえない感じですが、まぁLOVEラヴぶりを出したかったので。
皆様は、膝枕逆バージョン(笑)いかがでしょうか??
この状況……ありですか? 自分的には書いてる時、ウハウハものだったのですが、
考えてみると・・・・・・みたいな感じで( ̄▽ ̄;)ゝ

こんな作品の出来となってしまいましたが、
ちゃんやす様には、有り難くも喜んで頂けましてなによりですm(_ _;)m