第17話  県大会初優勝

 強いチームが優勝戦で、また1回戦で過去敗れてきた。9年目のチームは貧弱だった。センター二人は160cm程度、今なら普通の小学生程度のチームであった。そのため上位進出は余り考えていなかった。郡市大会は楽に優勝できた。尾西大会はオールコートマンツーマンの浅井中学との決勝戦でどうにか勝てた。
 県大会準決勝であの仇敵常勝の北稜中を、あの浅井中が得意のマンツーマンで破ってしまった。そのため優勝戦は尾西の1位・2位の対戦となった。これは珍しいことであった。前に勝っているので比較的余裕を持って優勝できた。もし北稜中が出てきたら果たして結果はどうだっただろう。
 あれほど切望していた県の制覇が弱いチムで達成するとは夢にも思わなかった。「強くても勝てない、弱くても優勝できる」との教訓をこの時得た。
 どういうわけか漸くたどり着いた頂点の喜びはそれほどなく、次は追われる立場で「これからが大変だぞ」との想いが頭の中を占めた。
 この時のガードについて少し記述します。彼女が入学して間もなく草取りをしていたとき「部活は何処に入るつもり」と尋ねたら「バスケットに入ります」と答えた。華奢な体だったが良く努力した。県の優勝も彼女抜きには語れない。 彼女卒業後一度も会っていない。年賀状で三重県に嫁いだことを知った。ある日曜日体育館の外からニコニコ見ている親子がいた。そばへ行ったらあのガードの子だった。男の子は幼稚園児だった。実家に来ていたのでした。
 今年年賀状に彼女は下のように書いていた。
  「息子がミニバスがんばっています。動きまわっている姿を見ると、
   昔の自分の姿を思い出します。」
子供まで親と同じバスケをやってくれるのは無上の喜びである。