第8話 3人娘 ツボ、ミーコー、アケ

 監督3年目県3位の主力選手、当時では大型の3人娘ツボ、ミーコー、アケが揃って高蔵高校に進学した。この年の夏県大会の金山体育館に彼女たちが応援にきてくれた。学校で合宿中とのこと。「彼女たち1年生全員部員の一人の子の家(常滑)に集団脱走してまだ昨日戻ったばかり」と言う。若い熱血教師重田監督の指導はよほど厳しかったのだろう。
この3人娘何の大会だったか記憶がないが優勝戦をある高校でやっていた。たまたま応援に出かけて観戦した。3人ともスタートで活躍して激しい攻防を繰り返していた。ベンチの重田監督は立ち上がって大声で叱咤激励していた。しかし甲斐なく僅少差で惜敗した。
 選手を慰めに更衣室を覗いたらビックリ、ガードをやっていたキャプテンツボがケイレンをおこしていた。ミーコやアケが必死に押さえ込んでいる。他の部員たちは蒼白になって呆然としている。突然ミーコーも倒れケイレンする。みんながツボ、ミーコーの名を叫ぶ。更衣室は騒然となる。私はおろおろして見守るだけ。すると続いてアケまで倒れ激しくケイレンをおこす。3人とも同じ症状。集団ヒステリ?
 緊張しきった試合、勝利への重圧、体力の消耗、キャプテンとしての責任など重なってツボが倒れた。そして中学から共に仲良くやってきたミーコ、アケが感応して倒れたと思う。 しばらくして順次回復した。
 この事件未だにまざまざと瞼に残っている。現在それぞれ主婦としてがんばっている。