魔界村


















【AN通信11/11日報】








あの、鉄の女「サッ○ャー」も、

男の中の男「ブッ○ャー」
も、

伝説の芸人「ラッ○ャー」



皆が惚れたと言われる
熱血硬派ソ○シはついにこの日を迎えた。









例のビデオ屋(以後イカ屋)に出向である。









あんなに複雑な気持ちで新しいことを始めるのは彼の人生を振り返ってもなかっただろう。





彼は憂鬱だった・・・・・












「ちわ」








面接の時の面影はもうない。
頭の中はもうどうやめるかで一杯。










「家業を手伝わなければいけないから。」





車のローンがここの収入じゃ返せないから。」





映画を完成させなければいけないから。」











「店にいると
イカ臭くてアレルギーがでるから。」







辞める理由の作成にのみ脳細胞を活用。














バイトの兄ちゃんが簡単な仕事教えてくれていても

頭の中は




「悪いな、すぐにいなくなるけどよ。」












社員が

「今月のシフトだけどこのくらい入れる?」

と聞いても




「別にいいよ。もう二度と来ることないかもしれんし。」











同じく社員がコミュニケーションをとろうと

「僕4日で
30歳になるんだよね。いやだな〜」

と話題を振ってきても




「別に野郎の誕生日なんざ聞きたかねーよ」
















「他のバイトはみんな君の上下2歳以内だから話合うかもね。」

と言っても




「話す機会があればな」










頭の中は常に
退職モード学園。






協調性皆無の思考回路。









ただでさえそんなテンションなのに、そのテンションをさらに増加させる発言が
社員から発せられた!








「給料の件だけど・・・」







ああ、それね。



電話で「深夜手当てとかあるんですか?」


って聞いたら





「手当てはあります」


って言ってたからな。






まあ結構もらえるんかな。
まあ聞くだけ聞いてやるか。








社員
「夜8時から1時までだから5時間かける
750円の3750円かける○×日のXYZ円ね」












!!?








はあ?









深夜のしかもエロビデオ屋が時給750円?








バカな!?








今時
場末のコンビニだってもっと出すぞ?









なんじゃそりゃ!?







ていうか
深夜手当ては!?










「あの、手当てがあるとか聞いてたんですけど・・・」
















社員

「ああ、
深夜手当てないけど、個室の掃除一部屋で50もらえるよ。」














!!




個室の掃除手当て?









しかも50円て!?


















!!!バカこくでねえ!!!

















おめさ、なめくさっちぇられちゅがいああああああああああ!!!!

















!!!うがあああああああああああ!!!














はめられた!


ぜって〜はめられた!







ぜって〜やめる!明日にもうやめる!


今日の給料いらんから明日はもう来ないぞ!








決めた!決めたぞ!











もう、頭の中腐ってます。



何言われても空返事。





仕事などは真面目にやるって噂の俺が、いきなり
ブチギレモードです。



こんなん初めてです。













ため息怨恨いとしさ切なさ心憎さイカ臭さだけが俺の心の関心事だった。




















が、そんな俺は甘かった。


















俺が
(を) 選んだ職場はこのまま俺を放置 (プレイ) しておくほどヘタレではなかった!!!!


















俺はあることに気付いた・・・・









シフト表だ。









「あれ?8時から俺の他にもう一人バイトが出勤になってるじゃん?」












現在8時・・・









ああ、今日俺が来たから休みになったんね。

なるへそ。











ウィーンガシャガシャ。







!?










おう?











社員がタイムカード押してるぞ?
おめーが帰ったら俺は初日から一人だぞ?










どうなってるんだ?













あ、そうか。


そこまでの時間しか給料でないけど、俺の指導兼ねて無給で働かなきゃならんのね。









大変だな、
ヒラは。クク












ところが、その社員はもう一枚タイムカードを取り出し、出勤ボタンを押して機械に挿入した!













バカな!?







何をしようってんだ?













そして一言。




「もう一人来るんだけど、彼は時間に
ルーズだから。」
















ああ、そういうこと。

ちょっとの遅刻ぐらいOKなんね。










意外と融通きくんだな。
でもそんな程度じゃ俺のモチベはあがらんぞ。



















おい、もう9時ちけーぞ。








ルーズ
とかそんなレベルじゃねーだろ!?
怒りの電話とかしねーのか?


















ウィーン。







自動ドアが開いた。
づかづかとカウンターに入ってくる男。










こいつか・・・・









無言で社員の横を通り過ぎ、僕に
「はじめまして」
と無愛想に言う彼。














多分俺の2コ上って人だな。

遅刻してきたのにスイマセンの一言もねーぞ。










態度でけーな。



社員と仲悪いのか?



















「おい」


手を差し出し社員に言う彼。








な、なんだあ?












その手の上に120円置く社員!







ジュースを買いに行く彼!






お礼の言葉もクソもない!!







無言!!










なんだ・・・・なんだこの関係は?




これが社員とバイトの関係か?









ていうかもうすぐ
30歳と23歳の会話じゃねえ!!













戻ってきて




「彼の分は?」














俺を指差して言う彼。





お、俺!?







なんかビビってしまった。





何も言わず成り行きに任せる俺。









「ああ」








サイフに手をかける社員。










ところが、だ。














小銭がない、と探している社員の背後から彼は忍び寄った。










そして、



「これがあるじゃん」









社員のサイフから
5千円札を持って行こうとする彼!











社員
「それはいかんて!!」

















いや、当たり前だよ!






















小銭をやっと取り出して、俺に小銭を渡しながら社員、


ちょっと
キリッとして



「ジュースぐらいおごるから」











いや、おごらされてるんだろ!?










なんか申し訳ないな。



でも結局俺もお相伴に預かるごとに。















ジュースを買って戻ってくると、そこには静かな空間が。















そんなとき、彼が社員に重く言った・・・・・












「もうすぐ三冠だな・・・」







!?










何が!?










何の三冠??











ウルトラ気になる!!










俺は耐え切れずついつい聞いてしまった。








「な、何の三冠なんすか?」










社員を親指で指して彼は言った・・・














「ああ、
コレがさ・・・」








いや、
コレって・・・・















「もうすぐ
三十路未婚素人童貞奇跡の三冠王なんだわ」


















ずがーん















なんてコト言うんだ!







しかも本人の前で!!













アンタ
7つも年下で、相手は社員だぞ!?






ちょっとは遠慮しろよ!!












「アンタも早くココ辞めんとな。
こんな出会いも金もない職場じゃ
10年後にもう一個栄冠増やすことになるぞ」












まだ言うか!!










社員
「やっぱそうかなあ・・・・・」












いや、アンタも本気で考えるなよ!









言い返せよ!!!!












なんだ!










なんなんだ!










なんなんだこの関係は!!










すげえ、こんな上下関係見たことねえ。













ここには
日本の縦社会の構造年功序列もクソもねえ。










すげえ、すげえぜ。



















なんか、人生観変わりそうだ・・・・・・









続く







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