ポンセットマウントを作る

ポンセットマウントとは?
1977年フランスのA.Poncetと言う人が発表した赤道儀。1980年の「天文ガイド」にSky&Telescopeの記事を要約和訳した記事が掲載されたのが、多分、日本での最初の紹介記事だと思います。二枚の合板と簡単な金具だけで作られ、一時間程度の簡易的な追尾をするものでした。当時自分なりにレンジして15センチ反射用を作りましたが、3点で支持する構造の為安定感が悪く、30倍程度の低倍率では、普通のドブソニアンで十分で、いつしか粗大ゴミになってしまいました。
(Poncetは、フランス語でどう発音するのか不明ですが、ホームページ等で「ポンセットマウント」で紹介されているので「ポンセット」と呼ばせて頂きます)
(図は当時天文ガイドに掲載の記事より転写)

右図1
A.Poncet氏の発表した元祖「ポンセットマウント」
当時の記事には様々なバリエーションも紹介されていました。
右図2
水平板の一端に「ピポット」反対の辺に2本の脚がありベース板の端の傾斜板の上に載っています。傾斜板の傾きが重要で90度から観測地の経度(θ)を引いた値になる。
これがなぜ赤道儀に成るか?いま傾斜板の面を上に延長拡大し考え、その面にピボットの先端Pから垂線をおろしPOとする。そしてP点を真南に置きPOを極軸に合わせる。水平板の両脚は常に傾斜板と接触して動くので動く方向は制限されので水平板上の物体もPOを軸として動くので、赤道儀と成ります。
Equatorial Tracking Platforms(略してEQ Platform)
時は流れて、40cmドブソニアン購入後、改造や運用の参考にと、色々なホームページを見ていると、アメリカ辺りでは、Equatorial Tracking Platforms と言う名称で市販もされているようです。上記「ポンセット」とは、発想が少し異なる様ですが、二枚の合板を使うという事から、多分原型は「ポンセット」だと思います。ドブソニアンも発案者の「ドブソン氏」の形式を元に様々なバリエーションも含めドブソニアンで有ると同様、発案者に敬意を表して、この形式は総て「ポンセット式」「ポンセットマウント」と呼びたいと思います。
(写真はアメリカで市販されている例)
構造
非常に大きな赤道儀の極軸をイメージして、地面と平行な赤線でカットしてその上に望遠鏡を載せます。望遠鏡の乗る場所は平面で、全体の動きは「赤道儀」に成ります。考えを進めると、天の北極を回転軸とするならば、「三角」や「ひょうたん」型でも良いと成ります。と成れば、右図の部分だけ作ります。そして極軸ではなく、回転体の下を支えて赤道儀と同じ動きを作ります。しかし前後の円盤の真円度と平行、傾きをかなり正確に作らないと、接点が浮いてしまう可能性が有ります。そこで、一方(右)は傾斜したままで、もう一方(左)は垂直にして、右の動きに合わせて左は支える構造にします。(参考 ドブマガジン 一番下です)
構想を練りながらも、製作に中々入れませんでした。@駆動のモーターをどうするか?A15ミリ厚以上の適当な合板が見つからない。Bボールベアリングが入手しずらい。がネックだったのですが、Bボールベアリングは、少し遠方のホームセンターに有りました。Aの合板は、12ミリまでの「コンパネ」は良く見かけるので、二枚を接着して作ろうかと考えましたが、重量がかなり重く成ります。そんな時見つけたのが「ラワンランバーコア」と言う合板でした。幅10センチ程度の板をサンドイッチにした合板で、厚みも20ミリまで入手出来ます。同じ厚みと「コンパネ」と比べても軽く、押した時のヒズミも小さいようです。価格も安く後は、@駆動のモーターだけです。(左図は、合板の切り取り図 その2に拡大図あり)
材料のメドがついたので、駆動モーターは後回しで、製作に掛かりました。心配だったのは60kg以上ある架台を載せた場合の強度や安定性でした。前後を5個のローラーベアリング支えて脱輪しないか?全体の工作精度は?海外のホームページでは写真からの情報は得られても、語学力が無いので「フィーリング」的な事が分かりません。強度に関しては全体を必要以上に頑丈に作ると重く成ってしまいますが、考えたらベースと成る「底板」のローラと架台を載せる「上板」の接点だけ安定すれば良いので、あえて合板は15ミリ厚としました。

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