短歌集





















6月の
  不快視数
    120
   雨にふくれる
       憎き 縮れ毛

ボコボコに
   打ちのめされて
        ノックダウン
  相手はいつも
        クールな自分
だれもみな
   笑顔の下に
       別の顔
    真昼の月の
          美しき哉    
ここちよき
  雨色の 風
    吹きたれば
   蒼き 草原
      さざ波 たてり
眠ろうと
   明かりを消した
         その後を
    やさしく照らす
          蒼き月光
つかぬよう 
   離れぬように
      ただ そっと 
  あなたに 届く
        風になりたい
とまる事
   できない道に
       えんえんと
  いろづき を 待つ
        紫陽花の花
わかってと
   願えば 足りず
     責めれば 余る
  言葉の 無力
       越えられぬ壁
onlyと
   思ってるいのは
         自分だけ
 星の数より
     落ちてる こいし
ひとりじめ
  したいと 思う
       年じゃなし
   ただ 心だけ
       近くに 置いて
つつまれど
  あまりに遠き
      月あかり
   手をのばしても
      足るるはずなく
待つという
     楽しみあれば
 待つという
   この上の無い
       哀しい時間
さよならと
   触れた指先
        冷たくて
  離れた今も
       心 ふるえる
花笑みて
      過ぎるを 待てり
     六月の
   雨風 受くる
      野に 咲きたれば
行き場なき
   心もって
     立ちすくむ
  流れる雲に
      問てもみたり
S と 0
   バックと同じ
       色で打つ
   誰も知らない
      ネットの片隅
かけひきは
    大嫌いです
  嘘つくの
    下手すぎるから
       ひくことばかり
  苗字しか
   よべない私
      いつまでも
    友達のまま
       よそゆきのまま
さりげなく
   「止めろよ」なんて
        言わないで
  余計に増える
       たばこのけむり
くりかえす
    ただ くりかえす
           雨音の
  小さな くるい
         耳に残りし



文字だけの
    ネットの中で
         顔さがす
  笑っているのか
     泣いているのか
大粒の
  雨のつくりし
      水の輪の
   重なりあひて
      阻みし 行く手
神様が 
   何か くれると
        言うのなら
  ひけてる足を
     踏み出す 勇気
美しき
   形繰り出す
       万華鏡
  その実体や
      あまりに 寒し
何もかも
  怒涛の如く
      打ち流す
   吾の心に
       宿りし野分け
六月の
   そぼ降る雨に
         けぶりしは
     野に咲く花か
           吾の・・・・
やさしすぎ
   そんな あなたの
      さよならは
  深夜のメール
    打たない 「またな」
雨上がり
    茂みの下に
       見つけしは
   とうに忘れた
      かたわれピアス
梅雨の間の
  少なき 晴れ間
       つないでは
散らかりしもの
   じょじょに 仕舞わむ
梅雨晴れの
  しばし碧天
      眺むれば
 小さき事の
   可笑しきを知る
運命が
   生きれる長さ
        決めるとも
  生きる時間は
         自分で決める
集いては
  円舞狂乱
      常夜灯
    朝には落つる
        虫の哀しみ
築きしも
  一瞬にして
     無に返す
   吾が胸中に
        潜みし邪心
蒼きもの
   たまりたまりて
        溢れ出で
    やり場もあらず
        両手に受くる
吾の背に
  てふてふの羽
      ひらひらと
    日毎夜毎に
         飛ばむを欲す
ここいちに
       足を 引っ張る
     ちっぽけな
   鎧のごとき
        吾のプライド
大雨の
  ベランダに出て
          煙草すう
   何やってんだか
        いい年を して
真夜中の
   雲に隠れし
      月 おぼろ
  輝きの 色
     選ぶに 足りず
すぐ 答
  出したがる癖
     やめなきゃ と
   思ふ 後から
       もとめる ヒント
やるせなや
   長雨 止みし
     真夜中の
  ただ 月明かり
       蒼々と 冴え
逃げ水を 
  追ひて ここまで
         明日まで
    時に木陰で 
         夢や 語らむ
望む事
   違うと言えば
        言うほどに
  かけ離れてく
        夢と現実
あこがれは
       ふくらむばかり
   追いかけることの
      できない
          自分が 哀し
雨に鳴く
  蝉の あるらば
     真夜中の
灯下に寄りて
    鳴くるも あらむ

鎮魂歌

大切な 友人が 一人
突然 旅立ちました
2003年 8月19日
覚悟せし
   吾を さしおき
 笑顔よき友が
      先 逝く 
        至極の 無常
蝉時雨
 夏も 終わりと
  燃ゆる日に
    たったひとりで
       君や 旅立つ
  
急ぎたる
   君の旅立ち
 友は 皆
   受話器の向こう
      奇声 あげたる
さっきまで
   気配残りし
      この場所に
    もう 来る事の
         なくなりし君
夏の夜に
  そぐわぬ風の
        冷たくて
 ただもくもくと
      紫煙 ながせし
急ぎしを
  馬鹿だと 放つ
   口悪き
     無骨な友の目 
          赤く潤む
呼び難き
  吾の名前を
     ちゃん付けで
   いつも呼びたる
     声の するごと
言いたきを
  良しも 悪しも
      言い放つ
  古き仲間を
     ひとり 失ふ
なつっこい
  お喋り好きな
     あの人が
  意識なきまま
      無言で 発てり
人生の
  まだ 半ばかと
       ゆう時に
  何も 残さず
     逝くや 哀しき
鳴り止まぬ
  電話のベルに
     ひとつずつ
   君逝きしこと
      告げるせつなさ
急変と
  かたづけられし
    君の死を
 受け止められず
     ただただ 涙
陽炎の
   立ちたるなかを
          見送りぬ
  汗を 拭きつつ
      涙 おさえつ
こんなにも
  泣く人のある
      見送りを
   「羨ましい」 と
        空に 語りし
大き人
   小さくなりて
        収めらる
    物言わぬ君
        まるで 別人
悲しみは
  壊れたボタン
     すぐに オン
  君を語れば
   オフが きかない










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