ホームページの誕生

 

 自分でホームページを作れるとは思いも寄らなかった。だが、稚拙ながら自力でできた。できてみると、少しでも進化させたくなる。そのテーマやネタ探し、表現方法の改善などあれこれ考え、悩むことになり、それが毎日を新鮮にしている。HPは、私のもう一つの顔として、コミュニケーションにも役立っている。

 IT元年と呼ばれる2000年の5月7日、遅ればせながらインタ−ネットに接続し、ウインド−・サ−フィンを初めて体験した。友人の作られた写真1枚のHPを見て、こんなシンプルなものでも自分のページがあるといいなと思った。そのうちNHKテレビ「趣味悠々」で写真入りの簡単なHPが短時間でできあがるのを見て、自分でもやってみたくなった。仕事でかかわっているホテルのHPが4月に開設されたこともあり、少なくともHPの作り方の基礎知識や用語ぐらいは知っておこうと思い、本屋さんで一番薄い解説書『ワードで作るわたしのサイト ホームページ作成』(アスキームック550)を購入した。一読してみたら、何だかできそうな気がしてきた。

 @niftyでHPアドレスを取得する。データをプロバイダ−に送るソフトを他社のHPからダウンロードする。各ページのテーマと構成を考えたうえトップページを作成する。写真を縮小して張り付ける。他のページとリンクさせる。データをプロバイダ−に送る。それぞれのプロセスでつまずいた。障害の原因がわからず悶々と2、3週間すぎることもある。他の解説書を立ち読みしても、友人に尋ねてもわからないことがある。途方にくれて解説書を読み返してみると、ファイル名で小文字にすべき英文字が大文字になっているとか初歩的なミスが原因であることも少なくなかった。そして8月30日、やっとアップロ−ドして全4ページ(トップペ−ジ以外は「作成中」の表示)のリンクが機能したときには、「やったぁ!」と小躍りして妻を呼んだ。その夜、シャンパンもどきで乾杯したら、これまでの苦労の数々が泡とともに消え去った。あとは各ページをゆっくり作ればいいのだ。トップページを飾る写真、ローズマリーの薄紫の花が眩しく見えた。

 各ページのテーマと構成を考えるとき、私的なHPとして、公開が可能で自分が発信し得るジャンルとテーマは何か、改めて考えてみたが思いのほか少ない。結局、趣味・道楽などから、「写真集」「海外旅行記」「ホテル」を選んだ。

 9月10日には「ワイン」も加え、10ページ程度の初歩的なHPの初版が完成した。ホテルのページには開業前に撮りためてあったデジカメ写真が活かされた。ごく限られた友人にだけアドレスを知らせたら、「
(その歳で)HP開設とはすごい!」「色合いが優しい、写真がきれい、文章がわかりやすい」「早速お気に入りに登録しました」など、かなり無理した激励の言葉をいただいた。これがうれしくて、その後の更新のエネルギーとなった。

 作成過程を通じてパソコン操作が少し向上したことのほかにも、HPの効用はいろいろある。写真や文章などにより、美しさ、感動、体験、日頃の思いなどを他の多くの人にも瞬時に伝えられるところがいい。初対面のかたにHPのアドレスを示して後ほど見ていただくと、私の一面を短時間に自己紹介できる。その場合、自分に都合の良い側面ばかり掲載している点を申し添えることにしている。最近ページ数が増えるにつれ、HPは、いわば自分史の一部を収納する書庫のように思えてきて、私の宝物になりつつある。いつか病床でこのHPを眺めながら、落ち込んだ気分をいやすことがあるかもしれない。そのためにも、更に好奇心、観察眼、美意識、表現力などを磨き、ページの拡充を図り、併せてボケ防止にも役立てたい。所詮、私のHPは、自分が見るための、自分のためのHPなのである。

 今後とも、せめてトップページの写真だけでも、月2回の更新を目指したいと思う。さて、次はどの写真を飾ることにしようか……。

2002.8.1

 

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