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グラナダ |
セビーリャ |
セビーリャ |
グラナダ
2001.5.28オプションとして、洞窟で行われるヒターノ
(ジプシー)の家族的なフラメンコ・ショーの誘いがあった(3,500ペセタ=2,310円) 。以前に旅した人から情報を仕入れていたし、書物にも様子が書かれていたので迷わず申し込んだ。帰りにアルハンブラ宮殿の夜景を案内するというのも魅力だった。21:30 ヒターノの家族が迎えにきた車でホテルを出発。気温は27℃で、なま暖かい。白いドレスを着た、主人のお子さんが隣に座った。5歳ぐらいか、人なつっこくて、キャンディを自分の箱から取り出し、私の目を見据えながら、食べるよう促した。言葉は通じないが気持ちは通じた。ひと昔前のバスのように大きなエンジン音を響かせて、夕暮れ時の細い坂道をくねくねしながら横穴の洞窟住居にたどり着いた。この地区は、サクロモンテの丘といわれる。洞窟は幅4m奥行き10m余りだろうか。途中にも似たようなフラメンコをする穴蔵があり、それぞれのホテルと専属契約を結んでいるようだ。
両側のいすにかけて30人ほどの観客が待つ。男性が二人登場し、一人がギターを弾き、一人が歌いはじめた。控えるメンバ−全員が手拍子をする。まずは浅黒く腕っ節の太いおばさんが踊る。指先の動きやしぐさがしなやかだ。回るたびにスカートで風が巻き起こる。間近すぎる。つづいて娘さん。何かぎこちなく見え、迫力不足だ。次の8歳の子がすばらしい。技は未熟だが、まなざしなど表情がやわらかく魅力的だ。魅惑的といってもいい。踊るのが楽しくてしようがないといった感じだ。成人する頃にはどんな子になるだろうか。後ろの方で、5歳の女の子も勝手に踊っている。男性が歌いながら踊りながら靴を踏み鳴らす。休憩には1ドリンク・サービス。赤ワインは酸味が強すぎた。後半には観客を引き入れて一緒に踊ったりした。自信のありそうな人も、なさそうな人も、恥はかき捨てで加わり、場が大いに盛り上がった。最後に踊り手全員が少しずつ踊って終わった。あの8歳の子に、私の目とレンズは釘付けになった。23時頃、普段着のフラメンコの余韻を残しながら洞窟を出た。
セビーリャ
2001.5.3019:00ホテル発、バスで市内のタブラオ
(フラメンコを見せる店:エル・パティオ・セビリアーノ) へ。正面に向かって左側前方の2階席がわがグループの指定席だ。スペインの主要なタブラオでの開演時刻は22時台が多いが、ここは早い。日本人などの観光客をターゲットにして早めているのだろう。事実、日本人グループがあちこちに見える。ドリンクは、アンダルシア地方で生まれたサングリア(赤ワインに砂糖、柑橘類などをつけこんだ冷たい飲み物) を試したが、やはり甘すぎた。19:30 ショーが始まった。扇子を持った女性の艶やかな歌声が、まず観客を魅惑する。ペアの踊りがつづく。カスタネットのリズムを刻んでいるが、バレエのような優美な踊りもあり、泥臭くない。カルメンとホセの踊りもある。男性の靴音のリズムは切れがあり迫力がある。女性がソロで踊るのが個性的でいい。顔が浅黒く、腕が太めのたくましそうな女性が、しなやかに、力強く踊ると「これぞフラメンコ」という感じがしてくる。身のこなしも柔らかいが、リズムに合わせた手首から先の繊細な動きにはしびれた。民族の伝統的な血が手先を動かしているように思えてくる。クワドロといって終盤は全員が舞台に出て、それぞれが少しずつ踊ったり、全員で踊ったりして盛り上げた。
歌やギターや手拍子もいい。水玉模様のドレスやショールなど色彩もいい。グラナダの洞窟のフラメンコも素朴でよかったが、やはり本物の技と華やかさは格段に違う。フラメンコは、ジプシーがアンダルシアに伝わった舞踏音楽をもとに形づくったといわれる。歌い手
(カンテ) 、踊り手(バイレ) 、ギターリスト(トーケ) が織りなす情熱(激しさ) と哀愁(もの哀しさ) に酔いしれ、フラメンコの奥深さを覗いた。入場時、ビデオ撮影禁止の表示があり撮影を見合わせていたが、1階席最前列の外国人が堂々と撮影しているのに刺激され、後半はかなり撮影できた。21:00 終了。