ワインの歴史

普段なにげなく飲んでいるワインの歴史を振り返ってみました
このデリケートな美味しさの背景にある多くの先人のご苦労に思いを馳せながら・・


古代ローマのワイン壷

ブルゴーニュワインボトルの原型

ぶどう絞り機


年代

時代区分

時代の特徴

経緯

醸造技術

ワイン文化

BC8000〜

原始ワイン時代

山ぶどうからワイン

メソポタミアのシュメール人が初のワイン造り

実を潰して放置

どぶろく状

BC6000〜

旧ワイン時代

ぶどうの木の栽培

・メソポタミア(シュメール人)やエジプトで栽培

種子や茎も絞る

権力者が蜂蜜と飲用(祭典、神事)

BC1600〜

古典ワイン時代

透明ワインの生産・消費

オリエント一帯にワイン文化が普及、増産

保健飲料(脂のしつこい羊肉に)

薬効(虚弱者や病後の衰弱者に。多量の蜂蜜を入れて咳止め薬に)

・バビロニアのハムラビ法典で飲酒制限

ヨーロッパ・ワインの誕生
(エーゲ・ミケーネ・
ギリシャ文明)

・ギリシャ人は食事後に酒宴

・BC8〜6世紀にギリシャ植民地であった北西地中海一円にワイン文化が拡大
ローヌ河、シシリー島、イベリア半島

イタリアへはカルタゴの商人がクレタ島から

素足で潰し、布でろ過

・商人、ぶどう農民、一般にまで普及

土器か角盃

水割り
(ギリシャ人)

・オリーブオイルを混ぜたり、アーモンドを噛んで

BC200〜

新ワイン時代

木樽熟成の味

BC121空前の大ワイン年に、水割りせず生地のまま味わう
(味覚の脱ギリシャ化)

・シーザーのガリア征服で、ケルト人のビール樽にワインを貯えて得た熟成の味を発見
ローマ人は老熟したワインの味香を好む)

紀元前後1世紀の間に欧州にぶどう園が拡大

・順次モーゼル河畔、ライン河畔、ハンガリーにも拡大し、3世紀末には全盛期

・375ゲルマン民族の大移動で下火に

・8世紀イスラム(禁酒)の侵入も影響
(オリエント一帯からワイン文化が消滅)

・768フランク王国カール大帝(中興の祖)に始まる6、7百年がワイン文化のルネッサンス

キリスト教世界としての欧州ワイン文化の創出

・ローマ人の醸造技術を守り通した僧職関係者、農作業をする修道僧によるぶどう山の拡大、ワインの品質改良

・修道士がワイン商に育ち、無税の特権を利用して海外貿易、ライン河に船団

・ぶどう山の拡大
(ライン河を越えて北上、
エルベ河畔モーゼル河畔、バイエルン、オーストリアまで・・北海とバルト海、デンマークまで英国は8世紀))

・各地の権力者により遺物混入・異ぶどう樹からの混酒の禁止
(ワイン法の原型)

1339〜1453英仏百年戦争 14世紀にペストの流行                

搾汁器の発明(以前は素足か棒)

・素足の禁止

盃は一般には磁器(ガラス製も)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・夕食時以外にも、商談、会合、接待に不可欠となる
(空前絶後の大消費時代)

・北緯55度のワインは、酸味が強く薄っぺらな味
(蜂蜜等で味付けして飲む)

・盃は今日の原型

1500〜

現代ワイン時代

大衆にも高品質が普及

・1618−48ドイツの30年戦争:国土荒廃

完璧な理論の裏づけによる醸造技術の成果

・品質向上による味わい少ないワインの淘汰
イタリア、フランス、スペイン、南ドイツのライン河畔が残る)

・王侯貴族は豪勢な生活、要塞から宮殿型の城館に移り、夜宴用に高品質ワインの需要

・16世紀 ハンガリーの乾粒選果でトロッケン・ベーレン・アウスレーゼ

・17世紀末 シャンパンの誕生

・1775 ドイツのヨハニスベルク城で遅摘み法(シュペートレーゼ)を発見

・大航海時代、大植民地時代に伴い16世紀後半から新世界ワインが出現

・1655南アフリカ(オランダ人)

・1770カリフォルニア
(スペイン神父が始め、その後フランス・スペインから農民が)

・19世紀初頭オーストラリア

・1803史上初の完全なワイン化学の本を出版

・1830ドイツで糖度計発明

・1811偉大なワイン年に付けたキャビネット(秘蔵酒)の呼称(格付け)が定着

・1863害虫フィロキセラがローヌ河畔に発生
(1870オーストリア、1883イタリア、1895ドイツ(被害最小))

・ボルドー液開発、害虫に免疫性のある米国原生ぶどう樹に接木をして克服

・1870米国から侵入した病原菌ペロノスポーラと真性メルタウという伝染病による被害
(ドイツの1/3減反、スペイン・ポルトガル収穫皆無)

・各国のワイン研究専門機関が支える

・農民は新時代に合った組合を設立

・完璧に近いワインの法律の監督と保護

・品質安定のためにステンレスタンク採用
(清潔、醗酵温度を自由に調節、酸化完全防止)

・醸造過程をプログラム化しパソコンで制御

・現代ワインの終着点、あとは天候の問題だけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・18世紀 コルク栓の瓶詰め
(瓶熟成への足がかり)

 

 

・皮製の酒袋か陶器の器で買いに行く

 

 

 

 

・17、18世紀以降、ワインと料理との調和を発見

・飲むワインが変わるたびにグラスを替える習慣ができた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 参考資料:古賀 守著「ワインの世界史」(中央公論新社)など

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