津島市蛭間町
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全席禁煙に致しましたので、
 喫煙はデッキ席のみとさせていただきます。
 毎木曜日第2,第4水曜日を定休日とさせていただきます*
 2003.07.02

ある中年女性のジャズライブ初体験の感想を、人づてに聞いたことがある。それは、いとも簡単に“何がいいのかわからない”の、ひと言で片付けられていた。彼女に興味がないといえばそれまでだけど、それにしてもねぇ。しかも、この時のライブは、割とノリのいい感じで、ジャズでも初心者にとっては、聴きやすい演奏だったはずなんだけど・・・。ちょっと、ショックだった。それなら、ちがうジャンルだったら、どうだろうって思うんだけど、どうも感じからして、音楽自体、彼女の中でどうでもいいことのようだった。



自分の好きなことが、自分の中でどれだけの割合を占めているのか、まあ人それぞれだと思うけど、そういうことがあれば、たとえそれが何であれ、きっとhappyな毎日を過ごすことができるんじゃないかと。



私にとっては、それが音楽。なので、音楽という物(形はないけど)が、贅沢品ではなく、必需品なのだ。音楽のない生活なんて、ぜったい考えられない。音楽って、いろんなところでその力を発揮してくれるし、役に立ってくれる。



音楽を聴かせて作るお酒。ずいぶん前に、出口さんが、うちのライブに来た時お土産に持ってきてくれたのは、ジャズを聴かせて作られた、「MJQ」という日本酒だった。正にスイングするお酒。主婦には、休日なんてない、日々繰り返す家事の数々。そうじだって、洗濯だって、好きな音楽聴きながらなら、もっともっと、いろいろできちゃう。どこもかしこもピッカピカなんてね(そうなればいいけど)。ちなみに店に来ると、すぐレコード、CD、MDが聴けるようになっているので、営業時間外でも、パン仕込みやトマトソースを仕込んだりっていう時、必ず何か聴きながら仕事をする(この時大音量がいいのだ)。楽しい時はもちろん、悲しい時にだって、音楽は、いつも私のそばにある。とにかく、スイングしなきゃ意味ないって!・・・?



この世知辛い世の中で、目に見えない、形として残らない物の代表格みたいにして、たとえばライブ、最高の贅沢なんて言われて不本意なんだけど、うちのライブの日、“今日は、2組帰っちゃったね”“今日は3組・・・”と、あとで話したりする時、やっぱそうなんだと、認めざるを得ない気がして、すごく残念な思いをしていた。



ところが、出口さんのライブ後、2年ぶりにライブに来ていただいたお客さんからのメールで、久しぶりにライブを聴く機会をもたれて、“・・・「心の和み」「寛ぎ」の必要性をあらためて実感・・・音楽はとても大切な「魂のごちそう」・・・”と、書かれていて、私はうれしくなって何度もメールを読み返した。



彼は、仕事の疲れから体調を崩され、それが尾を引いて、原因不明の体調不良に日々苦しむことになる。それが後に、病名が明らかになり、治すには、仕事をやめるのがいちばん手っ取り早い方法だとわかったものの、そうすることもできず、ずいぶん悩んでいらっしゃった時期がある、もう何年も前のこと。本当に具合の悪い時は、好きなジャズもほんの少しでも聴こうものなら、気分が悪くなるほどだったらしい。



すいぶんお会いしていなくて、最近はジャズを聴かれてるかどうかさえわからなかった。ライブ2,3日前にチケット予約の電話をいただいたのでさえ、おどろきだったのに、そんなふうにしてライブを楽しんでいただけたこと、私もすごくうれしくて・・・。そして何より彼の言葉に感銘を受けた、マジ、くれよんやってて、よかったぁーって、思える瞬間だった。



今週は、その彼に出口さんのライブで聴いたお気に入りの2曲が入ったアルバム探しを頼まれた、そのうちの1曲「Nuages」



BARNEY WILEN 「Jazz Sur Seine」

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