津島市蛭間町
tel.0567-25-3272
全席禁煙に致しましたので、
 喫煙はデッキ席のみとさせていただきます。
 毎木曜日第2,第4水曜日を定休日とさせていただきます*
 2004.04.16

 うちのお客さんで私達が「お祭り男」と、よんでいる人がいる。最初話すきっかけは、もちろんジャズのことだったけど、何回か足を運んでいただくうち、何かのきっかけでお祭りの話題になったのだと思う。私達も”お祭り大好き!”と、すっかり意気投合。しかし、お祭り大好き指数は、彼の方がダントツで上。そんな彼を私達は、いつしか「お祭り男」と、よぶようになっていた。


 当時(8年とか9年とか前になるかな)彼の超おすすめの、東栄町花祭りに是非!と誘われ、案内してもらったことがある。それから、彼との会話の中で、祭り話は、欠かせないものとなり、その中でも、特に印象に残っているのが、諏訪の御柱だった。祭りといえば、山車が出る、みこしを担ぐ、鉦を鳴らす、太鼓を叩く、踊る・・・そんなイメージしかない私は、御柱の祭りは、丸太に人が乗って坂を下りると聞いて、確かにめずらしいということもあるけど、それよりもそんな無謀なと思ってしまった。”だって、それって危ないでしょ?”と、問う私に、彼は”まあ、死ぬ事だって””えーっ、死んじゃうの、祭りでー”とんでもないと言わんばかりの私に、わかってないなあとでも言うように、”それでたとえ命をおとしたとしても、それが男の粋ってものなんだ”と、きっぱり。ホントにいろんな祭りがあるもんだと思いながら、”一度は行きたい”と、熱く語る彼のことばを聞いて、そんなにおもしろいんだろうかと、ちょっと?だった。


 ところが、去年フレンチブルーの帰りふと立ち寄った居酒屋で、御柱祭のポスターを目にして、何年も前に聞いた祭りの話がよみがえってきた。あの、おんばしら?と、ちょっと気になるのだ。しかもポスターには、○年(この数字を覚えていなかった)に一度とある。あのお祭りは毎年じゃないんだとマスターとそんな話をしながら、お店の人に聞いてみると、日程を説明してくれて”祭りの時は私も忙しくなるわ”と、ワクワク感が、こっちにも伝わってくる気がした。そして、久々にやってくる自慢の祭りの日を待ちわびているようだった。


 あれから半年、そんなことは忘れてしまっていた私だったけど、新聞で御柱の記事を読んだマスターは、早速ネットで検索を始めていた。便利になったもんで、ネットで何でもかんでも調べられる今の世の中。スケジュールの中から、下社11日(日)を最終的に選んだ。


 何せ相当な人出が予想され交通規制もあるというので、日曜2:30a.m.にここを出発。臨時駐車場10ヶ所のうち、時間も早かったので、いちばんの駐車場をコンビニで教えてもらい、到着したのが6:00a.m.過ぎ。祭りの催される木落とし坂までは、少し歩くことになるらしい。7:00a.m.前だというのに、もうけっこう人は出ていて、おもいおもいに場所取りをしている。とにかく初めてで何もわからないので聞いてみると、坂の脇に適当に座っていいらしい。といっても、坂側最前列はすでにずらっと人がいて、迷った揚句、坂の割と下の方に決めようとしていたら、すぐ前に座っていた人が、”あっ、どうぞどうぞ、どんどん混んでくるんで・・・少しでもあいてたら、ここいいですか?なんて、きちゃうからもういっぱいになりますよ”何か事情がよくわかっていそうだし、とても気軽に声をかけて下さったので、こういう人が近くでよかったと思いながら、そこに落ち着くことにした。


 敷物を敷いて、腰をおろしておちつくことにするんだけど、何せ斜面なので、ずるずると落ちてしまい、非常に座りごこちは悪い。みんな石や木の枝を拾ってきて、落ちていかないようにうまく工夫して、座っていらっしゃる。


 木落しのスケジュールは、11:00、13:00、15:00の3回。周りの人たちは御柱の相当な熱烈ファンらしく、時間通りに落とすことなんて、ほとんどないからと、経験上(だと思う)何だか余裕たっぷりで、その他にも、いろいろ話してくださって、私達が座った一角は初対面同士でも話がはずみ、和気あいあい、にぎやかだった。最初に声をかけて下さった方は、”1本目までまだ4時間以上もあるんだぜ、話でもしてなきゃ時間なんか過ぎやしねぇ”と、おっしゃって、1本目までが4時間、2本目、最後の3本目までだと、いったいどれくらいここで待つことになるんだろうと、気が遠くなるほどだった。


 やっと1時間そして2時間が過ぎ、着実に人は増える、増え続ける。すると、腕に機動隊の腕章をつけた人たちがやってきて、何だか物々しい雰囲気。こっちまでちょっと緊張気味。もうそろそろとなると、木やりが歌われたり、横断幕が披露されたりと、少しパフォーマンスがあって、いよいよ木落しとなる。見ている所から落ちる所までは、かなり距離があるけど、何だかこっちまで突進してきそうで、ドキドキする。とにかく人、人、人、で全景を見るなんてとんでもなくて、落ちる瞬間を見たらあとは熱気で楽しむしかないような感じ。


 3時間4時間待ちというものの、周りの人たちと話したり、木落し本番の前に、いろいろパフォーマンスがあるのでまあそれなりに時間は過ぎていくけど、最後3本目が落ちる時はさすがに長くて”早く落とせ!”と、声が飛んだほど。もっともこの3本目戦後2番目に太い木だったらしく、それも無理ないのかも。


 いよいよ3本目が落ちる。その瞬間には”オーッ”と、歓声が上がってみんな総立ち状態。1日のクライマックスだ。坂の下までくると、参加した男達は握手を交わし歓喜に酔う。


 祭りが終わると一斉に帰り始めるので、すぐとなりにいた地元の女子高生が”この斜面を上がると近道ですよ”と、教えてくれて、ずるっとすべりそうになりながら、坂を上がって道にでて、人の波に押されて歩く。下りていくと樽酒がふるまわれていて、紙コップでいただく。くぅ〜〜っ、うまい!!五臓六腑にしみわたる。


 しかし、すごい祭りがあったもんだ。人が踊っているのを見て、太鼓の音を聴いて・・・自分も盛り上がる、私にとっての祭りのイメージ。御柱は少し特異な気がする。私達はこの日、12時間近く同じ場所に座っていた。でも木落しはほんの一瞬、確かにいろんなパフォーマンスはあるものの、ほとんどが待ち時間といっていい。待って待ってただひたすら待つんだけど、終わってみると、これは、単なる待ち時間ではなく、この間にだんだん気持ちが高揚していくという、大事なプロセスなんじゃないかとも思える。


 もちろんすごい大木を人の力で引いてくるので、ちょっとやそっとの時間ではできないのは当たり前なんだけど、ふつうなら”なぜこんなに待ってまで?”と、思わせることも何万、何十万の人出があるのは、あの迫力と微妙に待ち時間効果があるのかも。


 今週は「For Carl Perkins」
RON JEFFERSON 「Love Lifted Me」 テナーの山中ちゃんの演奏でハマった曲!

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