津島市蛭間町
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全席禁煙に致しましたので、
 喫煙はデッキ席のみとさせていただきます。
 毎木曜日第2,第4水曜日を定休日とさせていただきます*
 2004.09.13

 人について思う、考える。いつになっても、いくつになっても、ついてまわる人間関係。所詮人間なんて、ひとりで生きられるはずもなく、それは避けられない問題なのだ。一期一会、確かに出会いは、自分の人生の中で大切だが、人と出会ってからの人間関係は実に様様だ。


 学校ではクラスメートや先生、同じ教室で学び、部活動を励み、きびしい校則の中での学校生活、多くの出会いはあるが、本当に親友とよべる友達がいてくれたからこそ、過ごしてこれたにちがいない。


 会社に入れば、同じ職場で働く仲間と上司、等々どちらも団体生活での関係。同じ教室で学ぼうが、同じ職場で働こうが、趣味も考え方も環境も全くといっていいほど違う何十人もの人たちとのつきあい、人間関係は、そうたやすいものではない。


 ”こんなとこすぐやめる”と、言いながら6年半も勤めた会社も、結婚を期に退社。20数年間の団体生活からのがれ、わずらわしい人間関係ともおさらばできると、喜んだのも束の間。結婚後今度は、近所づきあい、(もちろん近所だけではないのだが)という、新しい出会い、関係が生まれてくる。毎日のように顔をあわせ、最高の笑顔で挨拶を交わし、でもわかっているのは、お隣の○○さんということだけ。もっとも、新しい生活のスタートが県営住宅という所からだったので、無理もないのだけれど、それまでにない、奇妙な不思議な関係をそれでも日々築き上げていく。


 その結婚してすぐ入居したおんぼろ県営住宅では、次年度自治会役員選出のくじ引きで、見事自治会会長が大当たり。”これ、選出方法まちがってるよ、どう考えたっておかしいでしょ?”と、文句のひとことも言いたかったが、主婦暦何十年(どの人もそう見えた)、手ごわそうなおばさんたち相手に、言いたいことの、100分の一も言えず、仕方なく、引き受けたのだった。


 そんな状況の中で、いちばん救われたのが、同時期に入居した、やっぱり新婚さんの奥様の存在だった。彼女もくじびきで、副会長を引いてしまい、以後それを期に、仲良くなった私達。11棟からなる、大きくてふるくさい団地の中を、異色とも思える私達が肩を並べ、歩いている姿を人はどう見ただろう。”あんなのに任せて大丈夫か?” ”自治会も終わったな” ひょっとして、そんなこと思われていたんだろうか。しかし、いつでも、どんな時にも、彼女は強い見方だった。自治会にはもうひとり、古くからの住人で、ほんとにお世話になった人がいて、この人と副の彼女にはまた会いたいと、今でも時々思い出す。


 くれよんのOPENがあったので、その団地もわずか一年半くらいで出ることになり、やっかいな人間関係も終わりと、、さばさばした気持ちになっていたが、今度は蛭間というこの土地でのさらにややこしい関係が待ち構えていた


 結婚するまで実家にいたころは、町内とのつきあいはすべて両親がやっているので、どうってことなかったが、結婚して尚且つ店まで持ってとなると、かなり慎重に気を使いすぎるくらい使って、この辺の人たちとはつきあっていかないとまずい。当然のことながら肝に銘じていた。


 それなりに努力はしたし、自分ではできているつもりだったが、ある日レジにたっていたら、その前の席で”わしは、お前さんがおるで、ここに来る・・・”と、パートのおばさんに話しかけている近所の人。なんだそりゃ。一瞬耳を疑ったが、そう思うんだったら仕方ない。しかし、そのあとに続けたことばに怒りをおぼえ、同時にみんなこんな考えなんだろうかと、ショックだった。OPENから一年くらい経ってうちが「ジャズ喫茶」と謳うようになり、近所の人はさっぱり来なくなって、実はすごく安心したのだった。人に店の中のことは見えず、外で会うときだけ、おもいっきり笑顔であいさつさえすればすむことなので、ものすごく気が楽になった。


 くれよんを始めるまでは、それが自分で望んだ出会いではなく、その時々おかれた状況の中での出会いなので、つきあいが難しいとか、ややこしいとか、うんざりしたのは仕方ないことだった。


 でもあるshopの店員さんとの出会いがきっかけで、今度は自分から出会いを求める”何か店を”と、考え、願いが叶い、夢も希望も持ってopenさせたくれよんだったが、そこでこんな思いをするとは思ってもみないことだった。これは私にとって、とても以外なことだったが、それが出会いではなく、地域の人たちとの近所づきあいだったと、今では考えている。


 ジャズ喫茶として近所の人の目を気にすることなく、店作りをし、レコードは増え続け、音量を上げ、ジャズ一色になっていった。でも当時のお客さんで、今なおくれよんに通い続けてくださる方もいてくださって、それは本当にジャズのおかげと思っている。


 しかし、それでもその時々で、実にいろんなことがあって、人間不信みたいな状態になったときなど、この人笑ってるけど、本当は何考えているんだろうなんて、常に思っていたことが一時期。(まあ、今でも時にはあるのだが)、あとになって、すべて人生勉強と思えるようになったが、そんなふうに思えるようになるまでには、かなり時間がかかった。


 そんなことを繰り返すうち人っていやだな、面倒だなとついつい思いがちだったが、本当にあったか〜いお客さん、ミュージシャン、友達・・・に囲まれていると、逆に人っていいもんだなあとしみじみ思う自分がいて、私の人生の中でこれ以上の出会いなんて絶対無いと言い切れる程幸せな気分になる。


 くれよんでライブを始めるようになって始まったミュージシャンとの関係。今まで出会ったことのないというか、つきあいのなかったミュージシャンという職業の人達、しかもジャズ。なぜそんなふうに考えたんだろうと、今になって思えるけど、やっぱり最初はずいぶんとまどった。どうつきあえばいい?と、こんな調子。


 どういう関係って、たとえば店側とお客様。くれよんに来ていただいてる時は確かにそうかもしれないけど、常連さんの中には、おいしいもの食べにいったり、遊びにいったりとそんなことできる人達もいて、友達みたいにつきあえるのが私は好き。ミュージシャンも同じで演奏者と店ではなく、願わくば一生つきあっていける友としていられたらなあと思うのだ。


 そんな人達み〜んなに、敬意を表して「ありがとう」

今週は「Mucho Calor」
ART PEPPER 「Mucho Calor」

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