2005.05.13
やゆ&Fish Houseは、民謡とジャズの融合、「民謡からMINYO」へと題してのライブだった。このバンドは、去年6月が初めての出演で、くれよんライブ史上民謡というのはもちろん初めてだったが、三味線という楽器も初めてだった。
やゆさんのよく通る声で、歌われる伝統的な日本民謡は、すんなりその世界に入り込めたし、三味線の音がまた、心地いいのと同時に、はじくと一種打楽器のようにも聴こえて、なかなか刺激的でエキサイティングだ。
ふだん民謡を聴くという機会すらあまりないのに、間近で聴けることもあって、いつものライブとはかなり雰囲気が違うが、たまにはこういうライブも楽しい。
特に今回聴いた「武田節」は、すばらしかった。演奏の前にやゆさんのMCで、”私はチックコリアが大好きで・・・”と、言った後に”・・・松井さん(p)も好きだよ・・・”と、つけ加えた。
彼女のてきぱき、はきはきのべしゃりが、ところどころ毒舌、ジョークも交えてけっこうおもしろいのだが、それに反応したかのように、MCが終わって松井さんが弾き始めると、正に「スペイン」を、想わせるピアノソロ。そして、うたが始まる。
一年前と今回と、このバンドを2回聴いて、初めてこれこそ融合だと感激。見事松井さんが「スペイン武田節」に仕上げてくれたのだった。おもしろいなあ、こういうの、すごい、すごい。
どの曲も当然アレンジはされているのだろうが、うたはうた、ソロはソロって感じで、正直これって融合してる?と、あまり細かいことまでわからない私は、そんな聴き方しかできなかった。がしかし、この時「民謡からMINYO」へのおもしろさを知った。
伝統的な厳しい民謡の世界から、ジャズとの融合を試みて、実際ライブ活動を続けているやゆさん、それは、彼女の柔軟な心と、演奏技術があってこそ。その努力で民謡もジャズも聴き手にもっともっと身近なものにしてくれるにちがいない。
融合といえば、津島藤まつりのイベントでもうたっていただいた、西 みほさんも初めはジャズではなく、童謡でデビューされたそうだ。
日本の歌なのに、やはり民謡のように、聴くことも、歌うこともほとんどなくなった童謡を、みほさんのライブで聴くと、本当に心あらわれるような気さえして、聴き入るのだ。
藤まつりのイベントでは、「成信坊」という由緒あるお寺でのライブ。手入れの行き届いた風情ある庭、初夏の風が心地よく通る本堂で聴く演奏もまた格別だった。この時、みほさんがMCで、”小学校の音楽の本にはもうないので・・・”と、説明された曲もあって、”でも、すごくきれいな曲なので、歌い続けてずっと伝えていけたら”とおっしゃった。
他にもシャンソンとジャズというライブもくれよんではやったし、ボーカリストの方々には、どうやら愛されているスタンダードのようだ。
そして、演奏ではないが、’01 8月、やはりくれよんで初めてのdancer入りライブ。宮前バンド、featuring
KIN&FUJI。この時も、バンドもdancerも、メンバー全員、互いに刺激しあって、高めあって、そして楽しんで、カッコよくて、熱い!!ライブだった。
これらは、純粋に「ジャズを聴く」という人にとっては、賛否両論というより、圧倒的に否定的な声だろう。でも、”こんなライブもありだよ”と、私は強く思う。
クラシックな昔からのジャズというのも、もちろん大好きだし、当然聴くし、でも、新しいかたちにしていくのも、すごくおもしろいのだ。
進化するジャズ、もっと身近に!もっと気軽に!
今週の一曲は「Bolivia」 すっごい、カッコいい曲!
JAZZ BATTLE ROYAL 「Twin Heroes」
SWEET BASIL TRIO 「Never Let Me Go」
ライブをはじめた頃は、この曲と「Jeannine」の区別さえできなかった、情けない。
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