道草撮影人気投票10周年
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2016(下) 1位 ハス |
2位 イロハモミジ |
3位 イチゴノキ |
次点 キンギョソウ |
このほど2016(下)道草撮影人気投票の集計作業を終えた。順位は上に掲げたように@ハスAイロハモミジBイチゴノキ、次点はキンギョソウだった。投票していただいた皆さんのおかげで、私はいま充足感に浸っている。このイベントを10年続けた。「道草撮影」とは、私のホームページのトップに飾る草花などの写真である。名前の由来は、散歩の道すがら目に留めて撮影したものという意味だが、撮影は人生の道草という意も込めた。「植物」をキーワードにして、散歩中に限らず、わが家の庭や家庭菜園で撮ったり、草花に限らず、栽培した野菜とか、樹木の若芽・実・紅葉・枯葉まで広く素材を求めた。一眼レフカメラ(接写用のマクロレンズ付き)で撮りはじめたのは2006年初夏からで、その頃から毎週更新しているので、掲載した写真は通算500枚を超えた。
思い入れの深い写真なので、2007年から半年単位で自選12点を並べた写真集のページを新設し、いまや2016年(下)まで20ページにもなった。2006年の試作版を見た人たちの感想がきっかけで人気投票を思いつき、2007年(上)から身近な方々に投票を依頼した。メンバーは興味さえあれば、どなたでもいい。最近では毎回20人を超えるほどになった。ワインの友人が多数で、その他の友人や親類の人も含まれている。ほとんどが女性で、夫婦や家族3世代の場合もあり、英国在住の人も加わっている。それぞれにベスト3を選んでいただくとして、問題は選考基準だ。被写体の珍しさや意外性で選ぶ人、色彩の美しさで選ぶ人、かわいらしさで選ぶ人、清々しさを好む人、癒し系を好む人、構図の好みで選ぶ人、想像性やストーリー性で選ぶ人、自分の体験をもとに選ぶ人、何となく選ぶ人など様々である。多様性は大事にしたい。できるだけ多くの人に楽しんでもらうことが主眼でもあり、あまり見方を縛らず、おおらかに各自の好みで選んでいただくことにした。
まず半年分26枚から12枚を自分で選ぶ。全部が手間、暇かけた自分のお気に入りだから、半分をも除外するのが難しい。それでも、幅広い鑑賞者の期待に沿うよう、見た目の美しさを基本としつつ、月別、色、派手さと地味さ、花と芽や実、野草・野菜・樹木のばらつきも考えながら選出し、最後は3行4列にバランスよく配置する。仕上がりを眺めながら、今回はどれが上位になるか?誰がどれに投票するか?無得票になりそうなのは?などと投票前夜に夫婦で話し合うのが楽しみだ。ホームページにはサイトマップからだけ見られるよう、ひそかにアップする。この段階で参加者にメールをし、「内覧」と称して事前に見ていただき投票をお願いする。その投票結果は、1位の得票数の多さだけではなく、1位は3点、2位は2点、3位は1点のウエイトによる総合得点の順位をもとに、同点なら1位から3位までの総得票数も参考にして決めている。写真集に投票結果を書き込み、次回更新時トップページに写真集の新設を表示して一般公開をする。
2年前から投票依頼のとき「できれば選定理由も」と付け加えた。それ以前にも的確でユニークなコメントが自在に記されていたからだ。反響はあった。投票結果を報告するとき、1位〜3位と次点の発表のほか、上位4点について皆さんのコメントを要約して記したら、「コメントを読んでから写真を見直すのも結構楽しみ」「いろいろな見方や感じ方があっておもしろい」「皆さんの感想がとても参考になった」「皆さんの感想に感性をつつかれてすごく良かった」などと返信された。
私はベスト3の結果が予想どおりだったことは一度もない。撮影に苦心をしたものをつい高順位にしてしまう傾向があり、客観的に見られないからだ。賞は用意していないが、ベスト3ともドンピシャの人がまれにいる。2回当てた人も出た。平均的で均整のとれた美の感覚なのだろう。私が一番望むのは、すべての写真が得票することだ。私が撮って選んだどの子にも日が当たるのは格別うれしいからで、幸い、ほぼ毎回12点すべてが得票している。
道草撮影人気投票は年2回の小さなお遊びだが、私にとって有益なイベントである。多忙などで毎週まではホームページを見られない方にも主な写真を見返していただけるし、このイベントにより日ごろ疎遠な人たちとも年2回はメールの遣り取りができる。何よりも、また良い写真を撮って見ていただこうという気持ちを後押ししてくれる。妻とは日常会話は少ないが、撮った写真の良し悪しを毎週チェックしているので、人気投票の期間だけは会話が弾む。うれしいことに、もう1つ「身近な植物に目を向け、寄り添い、植物の美しさや生命力を再発見しよう」という私の隠れたメッセージが皆さんに伝わりつつある。「最近、自転車に乗っていても、道端や畑の花などに目が行くようになった」「植物の名前をもっと知りたくなった」というメールが届いた。
道草撮影人気投票は、皆さんの手を煩わせるため気が引けるが、ネット投票程度なら、巷での写真展に比べると双方に負担が少ないので許されるかもしれない。道草撮影は5年前にネタ切れといいながら更に5年続いた。自然の写真は一期一会なので、同じ被写体でも違った写真になる。毎回の皆さんの道草撮影人気投票を支えに、私の感性をつつきながら、道草をもう少し重ねていきたい。
2017.1,25
前掲写真についての <皆さんからのコメント(要約)>
ハス ハスはもう殿堂入りといった感じ。これはもう良い意味でズルい。不動の美しさ。開けた途端、目に飛び込んできた。上品、清楚(多数)。丸みと淡い色合い(複数)。花びらの柔らかい質感が伝わってくる。品があって美しく、女子たるもの、こうありたいなと憧れる。
イロハモミジ 赤黄緑、紅葉のすべての色が揃っていてびっくり。色のコントラストが好き(複数)。色のグラデーションが美しい(多数)。紅葉の影まで葉のなかに映り込んでいる。見れば見るほど空中か、水面か水中かわからなくなる、奥行きがある写真。
イチゴノキ スズランの花のようで透き通ったピンク色が好き。小さな花が集まってかわいい。光の当たり具合、花の向きなど、一つひとつがいろいろな表情をしていておもしろい。にぎやかで、かわいい女の子という感じ。
キンギョソウ 清楚。気品。今にも動き出しそう。
道草撮影 (索引)
(写真集) 2006 2007(上) 2007(下) 2008(上) 2008(下) 2009(上) 2009(下)
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(エッセイ風)道草撮影の楽しみ 道草撮影5周年―その舞台裏