小学生におすすめの本

 小学生が読む本にも流行があるのでしょうか。以前、小学生におすすめの本として紹介していた本の中には、もう販売されていない本もあります。残念です。
 小学生向けの本を選ぶとき、表紙の絵って大切だなあと思います。
 本屋や図書館にある数多くの本から1冊の本を選ぶとき、まず目にするのがタイトルと表紙の絵です。
 すべての本に目を通すことができない以上、仕方のないことでしょう。
 導入はタイトルと表紙の絵になります。興味を持った本を読んでみる。それで気に入れば、次回からは選択肢の1つとしてその作家の名前が加わるのでしょう。

サンタクロースっているんでしょうか? (偕成社) 中村妙子・翻訳,東逸子・イラスト
サンタの友だちバージニア (偕成社) 村上ゆりこ・著,東逸子・イラスト




吾  
「トリプル・ゼロの算数事件簿」 (ポプラポケット文庫) 
                             向井湘吾・作,イケダケイスケ・絵
 いじめゼロ、悪さゼロ、泣く子ゼロ。ゼロ、ゼロ、ゼロの「トリプル・ゼロ」を結成した算数マニアの有明雄天とヒーローオタクの轟恭平。そこに女マジシャンの四宮怜加わります。
 今回は、「トリプル・ゼロ」を結成するきっかけになったクラスメイトのいじめの話、四宮怜が加わるきっかけとなった怜の弟とおばあちゃんの話、消えたペンケースの話の3話。
 算数で事件を解決というのはこじつけっぽいですが、その伏線となる算数の話は小学生におすすめですよ。
 しかし、それ以上におすすめのポイントは、あの「お任せ!数学屋さん」 の主人公である神之内宙が有明雄天の師匠として登場することです。小学6年生の神之内宙が「トリプルゼロ」とどう関わり、将来の夢は「数学で世界を救うこと」という中学生にどうなっていくのか。その過程がこのシリーズで読めるのかと思うと、すごく楽しみです。 
「トリプル・ゼロの算数事件簿 ファイル2」 (ポプラポケット文庫)
                             向井湘吾・作,イケダケイスケ・絵
 「トリプル・ゼロ」を結成した夕陽の丘小学校5年3組の有明雄天、轟恭平、四宮怜の3人は、算数、スポーツ、手品と、それぞれの特技を生かし、困っている子を助けて大活躍。「トリプル・ゼロ」への依頼はオンボロ神社の賽銭箱に。「トリプル・ゼロ」の活躍は「夕陽新聞5月号」にも紹介されていますが、話は少し変な方向に・・・。「トリプル・ゼロ」と虎山真吾ひきいる児童会にキツネのお面の男。次の話に含みを持たせてファイル2は終わります。
 今後キーパーソンになりそうなのは児童会副会長の白石大智。この白石大智と神之内宙の物語は「お任せ! 数学屋さん3」に詳しく出てきます。
「トリプル・ゼロの算数事件簿 ファイル3」 (ポプラポケット文庫)
                             向井湘吾・作,イケダケイスケ・絵
 ファイル3では廃校となった山ノ城小学校での幽霊退治をあつかった「おばけ学校の指刈り女」と、山ノ城小学校で行われた新聞クラブ主催のスーパーしっぽ取り大会をあつかった「大激闘!スーパーじっぽ取り!」の2話。四宮怜と有明雄天の活躍が目立つ2話ですが、どちらもトリプル・ゼロの正体を暴こうとする新聞クラブ部長・日向金一の企みで、その日向を陰で操るのが、キツネ。 30年前の「夕陽新聞」と古い取材ノートに残されたキツネと指刈り女との関係と児童会の新たな作戦にふれてファイル3は終わります。
 「算数ってのは、いつだっておれたちを助けてくれるんだ。でも、それを知ってる人は少ない。せっかく勉強したって、猫に小判、豚に真珠ってわけだ。おれはただ、その小判や真珠をフル活用してやっただけだよ」







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「さいごのまほう」 (金の星社) 中島和子・著,秋里信子・イラスト
 深い森の奥に魔女がひとり住んでいました。魔女はもうすっかりおばあさんだったので、自分の年も、自分が魔女だということもわすれそうでした。それどころか魔法のほうきにまたがってもフワリとも浮かないのです。魔女は魔法の力が消えてしまう前に、何か「いいもの」になろうとします。でも、スミレの花になっても鳥になってもうまくいきません。そんなとき一人の男の子と出会います。男の子におされながら登った坂の上に立っているクスノキのの下に座り込んでいるときに何度か聞いた言葉。それは「ここにベンチがあったらいいのにね」でした。
 おすすめのシリーズです。
「まじょのけっしん」 (金の星社) 中島和子・著,秋里信子・イラスト
 魔女のベンチともえちゃんの出会いです。その様子は本を読んでのお楽しみです。
 ある日、作業服を着た二人が、古ぼけたベンチを見て「新しいのに取り替えよう」と言います。そのときベンチは自分が魔女だったことを思い出すのです。そして、ベンチはおばあさんに戻ります。
 おばあさんに戻った魔女の決心は・・・。下の段を見たらどうせ分かってしまうので、書いてしまいましょう。おばあさんに戻った魔女は、もえちゃんのために・・・になるのです。
「まじょのいのり」 (金の星社) 中島和子・著,秋里信子・イラスト
 公園のクスノキのかげに、2度目の「最後の魔法」で変身した「新しいベンチ」があります。
 魔女は、動くことも声を出すことも出来なかったのですが、ベンチになったことを決して後悔していません。でも、ある日、作業服を着た男の人が、チェーンソーでクスノキの枝をどんどん切り落としていってしまったのです。このままではクスノキが枯れてしまうことを悟った魔女は、元の姿に戻ろうとしますが出来ません。でもある考えがひらめきました。それはもえちゃんに協力してもらうことです。
「まじょになりたい」 (金の星社) 中島和子・著,秋里信子・イラスト
 魔女のベンチともえちゃんのお別れです。
 魔女は、ほうきを使って、もえちゃんに魔法を教えます。その様子は本を読んでもらいましょう。
 もえちゃんが魔法を教えてもらおうと思った理由は?好奇心?いいえ、本当の理由は、「一度だけでいいから、ベンチさんとお話がしたかった。声が聞きたかった。」からなのです。「だって、ベンチさんはもえの友達」だから。
「さよならのまほう」 (金の星社) 中島和子・著,秋里信子・イラスト
 魔女のベンチのところに1匹の黒ねこがやってきました。このねこはご主人様である魔女をずっとさがしているのです。
 実はこのねこはベンチになった魔女につかえていた魔女ねこピピの孫だったのです。そしてこのベンチこそねこのさがしていた魔女だったのです。
 魔女シリーズの最終話です。



「人間失格・走れメロス」  (双葉社ジュニア文庫) 太宰治・著,有本夏希・イラスト
 太宰治作品への導入として今なお読まれ続ける、友情の美しさを描いた代表作「走れメロス」。「富士には、月見草がよく似合う」の「富岳百景」など短編の名手であった太宰治の魅力が存分に味わえる作品を収録。「人間失格」は子供でも読みやすい幼少期時代の場面を抄録。小学生にも読みやすいようにすべての漢字にルビがふってあり、わかりにくい言葉には解説がついています。
 「人間失格」「走れメロス」「富岳百景」以外には、「猿ヶ島」「葉桜と魔笛」「畜犬談」「十二月八日」「雪の夜の話」「眉山」を収録。
 なかでも、私のおすすめは「眉山」。作者と同じようにトシちゃんを馬鹿にし、真実を知って、作者と同じように地団駄踏んで悔しがる。そして、トシちゃんを馬鹿にした自分をずっと後悔するのです。トシちゃんは…「いい子でした。」