脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が、正常値を超えて高くなった状態が続く病気です。脂質は、細胞やホルモンの材料になったり、エネルギーを蓄えるなど、身体を作るうえで大切なものなのですが、増えすぎると身体に悪影響を及ぼします。脂質異常症は、痛みやかゆみなどの自覚できる症状がなく、治療をする必要性を感じにくいために放置されがちですが、血中のコレステロールや中性脂肪が多すぎると「動脈硬化」を引き起こしてしまいます。そのまま放置すると、やがては「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの危険な病気にかかりやすくなり、最悪の場合には「突然死」にもつながります。
脂質異常症には、悪玉コレステロール(LDL)が増えた血中の状態、善玉コレステロール(HDL)が減った血中の状態、中性脂肪(トリグリセリド)が増えた血中の状態があります。
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」2002年版より
高脂血症の診断基準 |
血液検査内容 |
高コレステロール血症 |
総コレステロール値が高い
(220mg/dL以上) |
高LDLコレステロール血症 |
LDLコレステロールが高い
(140mg/dL以上) |
低HDLコレステロール血症 |
HDLコレステロールが低い
(40mg/dL未満) |
高トコグリセリド血症 |
トリグリセリドが高い
(150mg/dL以上) |
脂質異常症は悪玉コレステロール(LDL)が増えた血中の状態、善玉コレステロール(HDL)が減った血中の状態、中性脂肪(トリグリセリド)が増えた血中の状態を指しますが、悪玉コレステロールが増える環境というのは、高コレステロールな食事を摂取したり、精神的ストレスが高い状態であったり、過労の場合も増えてしまいます。善玉コレステロールが減る環境というのは運動不足や喫煙で、中性脂肪が増える環境は食事でエネルギーを摂りすぎると余ったエネルギーが中性脂肪(トリグリセリドとなって体内に蓄積されてしまいます。
特に、中性脂肪の高い人には、内蔵のまわりに脂肪がたまる内臓脂肪型肥満が多くみられ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症、進展に大きく影響するといわれています。
脂質異常症の治療方法 |
食事療法 |
1)総摂取エネルギーの適正化
適正エネルギー摂取量=標準体重×25〜30kcal
(標準体重=[身長(m)]の二乗×22で出ます)
2)栄養素配分の適正化
食事の偏りがある方は特にビタミンや食物繊維が足りません。
極力インスタント食品を控えて、家庭で調理したものを摂取してください。
- 炭水化物:タンパク質:脂質=60%:15〜20%:20〜25%
- コレステロール:1日300mg以下
- 食物繊維:25g以上
- アルコール:25g以下など
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運動療法 |
運動を1日30〜60分、週3回以上
(笑顔が作れる状態の運動が適度です)
またリズムがある運動は善玉コレステロールが増えるので、楽しく運動をしましょう。
- 速歩
- ジョギング(走りながら、おしゃべりできる速度が好ましい)
- 水泳
- サイクリングなど
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薬物療法 |
食事療法と運動療法による治療法で、脂質管理目標値に達しない場合は、薬物療法を行います。※冠動脈疾患を起こしたことのある人には最初から薬物療法が考慮されます。
- 医師の指導に従い継続して服用
- 食事、運動療法の並行して行います
- 副作用の有無をチェック
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高血圧や脂質異常症から動脈硬化症→脳梗塞・心筋梗塞へならないために
ストレスが多いと血圧があがり、血圧が高いことで血管が傷みやすい状態になり、ビタミンCやEが破壊されて善玉コレステロールが減ることにより、悪玉コレステロールが増加し(善玉コレステロールは増えすぎた悪玉コレステロールを除去する働きもあるのです)、血管が傷んだところに悪玉コレステロールや中性脂肪が沈澱、付着して、石灰化し、血液の流れを細くして、悪化すると血管を詰まらせてしまいます。詰まるとその血管から先が血液が通らないことにより壊死してしまいます。脳の血管ならば脳梗塞、心臓の血管ならば心筋梗塞を起こすのです。
ストレスが多い社会ですが、毎日、少しずつ、ストレスを減らすこと大切です。減らせないストレスであれば、ストレスを発散できるような趣味や、一時的にもそのストレスから離れられる方法を探すとよいでしょう。(ストレス発散するために、自分自身の身体に負担がかかることは避けたものが良いと思います) |
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たかぎクリニック 内科・消化器内科・外科・肛門外科
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