生野菜&ハーブ栽培
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コモンセージ |
レタスバジル |
フェンネル |
ラディッキオ |
生野菜の見た目のさわやかさやシャキシャキした食感は、食卓を華やかにし、食欲を引き出す。また生野菜はビタミン、ミネラル、抗酸化物質などが豊富で貴重な栄養源となるばかりでなく、繊維質の吸収による便秘予防とか、酵素パワーによるガン予防効果も期待できる。一般に野菜は肉や魚の付け合せぐらいに思われ、主役ではなく脇役に甘んじているが、決して端役ではない。
高齢になるにつれて野菜不足の食事は何か物足りなく思える。特に外食では野菜の量が少なく、生野菜もしおれていたり、見かけは新鮮でもハウス栽培や水耕栽培などのため野菜本来の味わいがしなかったりすることがよくある。そこで数年前から、安心して食べられるよう無農薬で、生食を前提とした野菜やハーブを菜園で育てている。「ワインに合う」「少量、多品種」「育てやすい」がコンセプトで、最近では欧州野菜のタネもいくつかネットで入手し、生育ぶりや新たな発見を楽しんでいる。
昨年の春、いまも学んでいるKワインサロンの会に、主催者の承諾をえて朝採りの生野菜を持参し、ワイン仲間に試食していただいた。「生き生きしている」「香りが立つ」「味が濃い」「甘みがある」「お店では買えない」……。味に鋭敏な人たちばかりで、想像を超える反響があった。ルッコラなど「虫がつきやすいのに、どうして?」と問われたが奇策はなく、多めに栽培して傷の少ないものを持参しただけである。
それ以来、野菜本来の美味しさを伝えようと、自分が出席する会に、例示すれば次のような季節ごとの生野菜とハーブを提供してきた。
<4月> わさび菜、グリーン・マスタード、プンタレッラ、コリアンダー、ルッコラ(つぼみ)
<5月> ルッコラ、レモンバーム、オレガノ、ペパーミント、フェンネル、ラーパ(蕪)、サラダ玉葱、エシャレット、バターレタス、青ジソ
<8月> スイートバジル、紫バジル、レモンバジル、レタスバジル、シナモンバジル、コモンセージ、ステビア、パプリカ
<11月> わさび菜、グリーン・マスタード、ラディッキオ(リーフチコリ)、コリアンダー、ルッコラ
好き嫌いのあるものだが、毎回完食していただけた。とりわけ人気が高かったのは、季節順に@春の薫り高いレモンバーム、オレガノA柔らかさと甘みと食感がいいラーパ(蕪)、サラダ玉葱、パプリカB珍しい5種類のバジルCソーセージの味を連想させるコモンセージDワインにも合う極甘のステビアEピリ辛感のあるわさび菜とグリーン・マスタードF冬場に味が濃くなるルッコラとコリアンダーなど。ハーブのスケッチをしたり、各種バジルの特徴や利用法、わさび菜とグリーン・マスタードの違いを尋ねたり、帰り際に「珍しい体験をありがとう」「家族にも見せたい」「ハーブの勉強になった」「私も栽培してみたい」「またラーパ(蕪)を食べたい」などと、わざわざ声をかけていただいたり、後日ブログに掲載されたこともある。
「畑の広さは?」「全部で何種類?」などと菜園の様子にも興味を持たれる。菜園は200uぐらい。上記のほか、生食ばかりではないがナバナ、スナップエンドウ、山ウド、紫アスパラ、紫ジャガイモ、コンニャクイモ、アーティチョーク、キュウリ、ナス、水ナス、ローザビアンカ(イタリアのナス)、ミニトマト、サンマルツァーノ(イタリアのトマト)、ゴーヤ、ピーマン、シシトウ、紫シシトウ、万願寺トウガラシ、タバスコペッパー、黒トウモロコシ、ミョウガ、生姜、金時草、空心菜、黒豆(枝豆)、小松菜、菊菜、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツなども作っている。ほかにも、あまり手をかけずセリ、フキノトウ、ミツバ、コゴミ、ノビル、ニラ、タラの芽、山椒、ローズマリー、パイナップルセージ、ブルーベリー、ブラックベリー、菊芋、ヤーコン、レモン、柚子、金柑も収穫でき、通算すると年間60種類以上にもなる。
10年ほど前、妻は「耕す人、蒔く人、植える人」、私は「撮る人、採る人、食べる人」であったが、今では私がスコップと鍬で「耕す人」に変身し、地主である妻は「食べる人」に専念している。農作業は時間がかかり、単調で汚れ仕事であるうえ、乾燥、豪雨、猛暑、台風、寒冷など自然の脅威にいちいち対応しなければならない。だが、試食していただいた皆さんの目の輝きと驚きの声を思い出せば、大して苦にならない。野菜栽培は、やってみると奥が深い。それだけに挑戦しがいがある。販売するわけではないので、小さくても、少々虫食いでも育てばいいと割り切れば、気が楽になる。NHK(Eテレ)「やさいの時間」の藤田 智先生の番組と著書を参考にしながら改善し、毎年少しずつ進化している。
「実際に野菜が育っている畑を見てみたい」「ワインつきの農園ツアーをぜひ」という気軽なリクエストもあるが、菜園を見ることにより皆さんの食欲が減退してはいけない。それに鶴の機織り現場を覗き見られると、もう生きていけなくなりそうだし……。生野菜&ハーブは、言うまでもなく私たち夫婦にとって健康の源であるが、私の分身は若いワイン仲間とのコミュニケーションツールにもなっている。今年も皆さんのご要望さえあれば、ちょボラの気分でワインサロンのハーブ大爺(王子)を務めようかと思う。
2012.4.5
(エッセイ風) キッチンガーデンの楽しみ 愛しのプンタレッラ 自家製タバスコの試み 菜園生活の四季 菜園のニューフェースたち 腰痛と菜園生活