菜園のニューフェースたち 〜近況報告 2014初秋〜
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ローゼル |
紫カリフラワー |
ホワイト・バニラッシュ |
搾菜 |
パプリカ3種 |
菜園で同じ労力を費やすなら、スーパーでは見かけない作物を育てると興味が湧き、やりがいがある。採れすぎても誰かに珍しがって貰っていただける。黒トウモロコシ、紫シシトウ、シャドークイン(紫ジャガイモ)、四角豆、アイスプラント、ハバネロや、イタリア野菜のロマネスコ、フェンネル、アーティチョーク、プンタレッラなど、これまでも毎年新顔に挑戦している。
いま午前中に菜園へ出向くと、ローゼルのピンクの花たちが、笑顔で迎えてくれる。咲いた後の赤いがくに包まれた実も、徐々にふっくらしてきた。このがくを実から外して乾燥すると、ハイビスカス・ティーを味わえる。その出し殻を天ぷらにすれば、同じ味が2度楽しめる。初夏には柔らかい若葉も、あのハイビスカス・ティーの味がして食卓で一役かった。ローゼルは2年前に初めて苗から育てたが、11月下旬に開花したのち寒さで枯れ、収穫には及ばなかった。昨年も結果はほぼ同じ。そのため今年は種を取り寄せて5月初めに蒔き、鉢植えのほか菜園にも5本植えた。9月10日の初開花には感動した。これで間に合う。収穫時期は開花1ヵ月後といわれるので、開花が遅いものでも、寒くなる前に十分間に合いそうだ。
もう1つの3度目の正直は、サンマルツァーノ(イタリア産の料理用トマト)だ。過去2年間、いずれも少し収穫しただけで、緑色のまま全体が枯れてしまった。何かの本で青枯れ防止には石灰がいいとの記事を偶然見つけ、今年は月1回有機石灰を加えたら成功した。焼いて皮をむき煮詰めると濃厚な味のトマトソースになり、このパスタはコクと風味があって格別美味しい。
友人に勧められ、この夏タイ料理の食材も、種から初めて育てた。プリッキーヌ(タイ唐辛子)は発芽に手間取ったが、9月には1回目の収穫ができた。鷹の爪ほどの辛さなので、用途は広い。タイバジルは葉が厚めで、花は集合して咲き、いかにも力強い。ホーリーバジルはインドではトゥルシー(タイではバイ・ガパオ)と呼ばれ、免疫力を高めるなどの薬効により紀元前からとても珍重されているという。確かに他のバジルにはない不思議な良い香りがする。花も小さくて繊細だ。このタイ系のバジル2種は、さすがにカレーにぴったり合った。バジルは、標準的なスイートバジルのほかに、これまでネットで種を入手し、栽培の種類を増やしてきた。「ミックスバジル」という名前の種袋には12種類の種が含まれている。背丈の高低、葉の大小・形状・色合い・香り、花など様々な要素で違いが出る。できるだけ名前を突き止めようとしたが尽くせない。香りなど微妙な差異はわからない。皆さんに食べていただくときには、混乱を避けるため特徴がはっきりしたものに絞った。赤シソのような珍しい色合いで味もやさしいダークオパールバジル、驚くほどレモンやシナモンの香りと味がしっかり出ているレモンバジル、シナモンバジル、葉が大きくて縮れがあるレタスバジル、背丈も葉も小さいブッシュバジル、それに前記のタイバジルとホーリーバジル。それぞれに類似点も多く、食べた人から「葉を見ただけで、違いがわかるのか」と不思議がられたが、牧童は飼っている羊の違いがわかるものだ。
昨年の秋冬ものでは、紫色とオレンジ色のカリフラワーが美しかった。特に紫は高貴な姿だ。採れたてを生でかじると、歯応えがよく自然な甘みもある。ホワイト・バニラッシュは、茎カリフラワーといった感じだが、ゆでると早春らしく茎の黄緑色が映え、味もよい。中華料理の漬物に使われるザーサイ(四川たけのこ搾菜)も初めて植えた。春先に瘤のような脇芽が次々と出てくる。葉を取り除くと、見た目がいかにも春色らしい。生で食べるとコリっとした歯応えが絶妙。からし菜の仲間なので少し辛味のアクセントもある。5月初めに植えて7月上旬に初収穫したセロリーも好評だった。軟白栽培された市販のものとは違って緑色が濃く、新鮮でジューシーで濃厚な味がした。葉を1本ずつ採って食べていける手軽さもいい。図に乗って秋用も、また植えつけた。春先から初夏にかけてのセルバチコも美味しい。タンポポのような形の葉で、ルッコラを一味濃くしたような風味だが、ルッコラとは別種のイタリア野菜だ。初夏には脇芽やつぼみも食べられる。虫よけさえ気をつければ栽培は簡単で、秋にもできる。
パプリカは、見慣れた赤や黄色を避けて白、チョコレート、オレンジ色の3種を選んだ。オレンジは1個収穫した後、鈴なりの枝2本が重みで折れてしくじった。パプリカは、ふつう緑色の実が長い時間をかけて色づくのだが、白だけは初めから白色で、大きくなれば早々と収穫できる。このため柔らかく瑞々しい味わいになり、ピーマン臭も少なくて食べやすい。これに比べてチョコレートは少し堅めだが、甘みが感じられる。ちなみにチョコレートの風味はまるでない。
実りの秋、10月には丹波黒豆の枝豆、ローゼルの初収穫、ハバネロのタバスコ作りが待っている。11月には秋もののセロリや、パープル白菜(紫色の白菜)の初収穫ができる。たくさん植えたリーフチコリ3種とプンタレッラの今年の出来栄えも気にかかる。今年初めてダメモトのつもりで植えたパパイヤの小さな苗は、いまや2m以上に成長した。8月14日に開花して以来、たくさんの緑の実が大きく膨らんでいる。改良種と温暖化のおかげで当地でも収穫できるよう、空を仰ぎながら祈っている。何にせよ初物は謎めいてワクワクする。育つ大きさ、花の時期や色、収穫時期、実の色や香りや味わいなどに、想定外の驚きと感動がある。残された時間は短く、「いい加減にしたら……」という身内の鋭い言葉もあるが、もうしばらく菜園のプロデューサー気取りで、レギュラーになれるようなニューフェースの発掘、育成を目指し、菜園を身と心の楽園にしていきたい。
2014.10.3
各種バジル
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ダークオパールバジル |
レモンバジル |
シナモンバジル |
レタスバジル |
ブッシュバジル |
タイバジル |
ホーリーバジル |
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