愛しのプンタレッラ(イタリア野菜)

 

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 「全体像やアスパラの穂先のような花芽(花茎)の形がおもしろい」「ほんのり苦味があって山菜のよう」「歯応えのシャキシャキ感がいい」「オリーブオイルとアンチョビペーストとの相性がピッタリ」「細く裂いて氷水に浸けるとクルッとカールする」「サラダやパスタ、リゾットにして美味しくいただいた」……私が栽培したイタリア野菜プンタレッラをこの3、4月にお試しいただいた皆さんからの声である。

 

 プンタレッラはローマで春によく食べられる伝統野菜といわれるが、名古屋のデパ地下でも柳橋中央市場でも見かけない。日本ではごく一部地域仙台市周辺など)でしか食べられないようだ。宮城県では、ローマ県と友好姉妹県となっていることもあり、5年ほど前から プンタレッラを宮城から とプロジェクトを強力に推進している。「プンタくん」というキャラクターも登場している。

 

 私が栽培するきっかけになったのは、一昨年4月シチリアへ出かける前に届いた、友人のS先生からのメール。「プンタレッラのタネをイタリアで買ってきて、栽培していただいて、食べてみたい〜〜」。結局タネは渡航前にネットで入手できた。南イタリアではソレントなどの八百屋さんで実物と対面し、その大きさに驚いた。「プンタレッラ?」「プンタレッレ」。花芽が何本も伴うので現地では複数形で呼ぶらしい。タネ袋の記載に従って真夏の8月にダメモトの気分でタネを蒔いた(直播)。一粒が1oほどと小さく、何だか頼りない。それでも、水遣りが不十分な割にはかなり発芽し、15pほどに育ったころ大きな株から定植した。台風襲来の予報があったときは、プランターに一時避難させたりしたが、けっこう移植に強い。葉がそそり立つ直径5pほどの株を初めて食べてみた。芯に近い部分は生食でき、他の部分は炒めると自然な甘みと苦味が心地よい。十分いけそうだ。

 

 12月になると株が直径20p〜30pになった。最初の異変に気づいたのは同月18日。一つの株の内側にアスパラの穂先のようなものが1015本ほど、ぎっしり束になっている。やった〜〜!プンタくん第1号をすかさず記念撮影し、友人たちに喜びのメールを送った。初収穫は翌1月20日。外側の葉を取り去ると、薄緑色で冠のように神々しく見える。花芽を1本ずつ切り取り、ワイルドに生噛りする。歯応えがたまらない。同月29日にはS先生へ第2号を送り、やっとご要望に応えた。露地栽培だが、霜や雪にもかなり強い。無数の根を大地に張り、不凍液をしっかり蓄えているのだろう。厳冬期の成長は停滞気味だったが、3月後半から4月前半にかけて一斉に花芽が伸び、順次10株ほど収穫できた。

 

 どんな花が咲くのか。どこに、大きさは、色は……。残した3株の花芽は、連休明けには1mほどに伸び、5月17日、花茎のあちこちから薄紫色の小さな花が現れた。奇怪な姿の花茎だが、花はなかなか気品がある。そのうち次々と花を咲かせ、菜園の女神のように、1ヵ月以上も私の作業をやさしく見守ってくれた。

 

 手探り状態の1年目の体験をもとに2年目は増産を図った。葉や根があまり横に広がらないので株間を狭くできる。昨年8月は菜園のほか予備的にポットへもタネを蒔いた。ところが記録的な猛暑のため、菜園での発芽率が悪く、ポットのも発芽してから成長が止まるという状態で、定植時期がかなり遅れた。成長は良くないが株数はあるので、とにかく50株以上を植え付けた。結果は、出足の遅れは取り戻せず、初収穫は3月になり、大きめの株は10株足らずに終わった。だが、小さな株でも花芽の味わいは同じだ。今年は友人たちやワイン会の皆さんをはじめ大勢の人に初めて食べていただけた。

 

 小さな一粒のタネから巨大な株と花芽が育つ楽しみ。苦味と食感がたまらない大人の味。花を愛でる楽しみ。移植に強く、虫も付きにくく、肥料さえきちんと施せば誰でも何とか育てられる。馴染みのない野菜の物珍しさのおかげで、差し上げると思いのほか喜ばれる。複数のブログでも紹介していただけた。この地方でプンタレッラがさらに広く知られれば、3.11東日本大震災で被災した宮城県を少しでも支援することになるかもしれない。今年もプンタくんにチャレンジしたい。


   2011.4.17

プンタレッラの花芽の付き方の例示

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大株

中株

小株

 

 

S先生からいただいたプンタレッラを細かく裂く道具(イタリア製)

 

花芽の茎元を網に押し付けて裂く

 

 

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