子供の目のかたちは大人の目とほとんど同じですが、子供の目にだけ起きる病気がいろいろあります。大人が子供のしぐさや動作や目の外観を観察して、子供の目の管理をしてあげましょう。斜視はこどもの2%くらいに見られる病気です。
視力の発育による病気 |
子供に多い目の病気 |
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- 流行り目・プール熱
- ものもらい
- 逆さまつげ
- 鼻涙管閉塞(びるいへいかんそく)
- 怪我
- ストレスの影響
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視力の発育するスピードは生後間もない時期ほど急速です。具体的には、生まれたばかりの時の視力は0.01程度で、1年後には0.1前後に育ちます。その後はゆるやかに発育し、4〜5歳で1.0となり、だいたい完成します。
しかし、乳幼児の視力の発育段階で、なにかの理由で網膜にはっきりと像が写らず刺激が加わらなかった場合、視力が育ちません。その後から視力が育ち始めても、遅れを取り戻して1.0の視力が完成するのではなく、遅れた分は失われたまま追いつけないことが多いのです。その結果、弱視になってしまいます。(近視でめがねをかけると見えるようになる場合は弱視とはいいません)弱視を早期発見して治すことが、斜視の予防になりますので、3歳児検診の視力検査をかならず受けるようにしてください。(3歳くらいまでに見つかると、治る可能性も高くなります)
弱視を発見するには?
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症 状 |
1 |
テレビを前の方で見る |
2 |
目を細める |
3 |
いつも頭を傾けてものを見る |
4 |
片方の目を隠すと嫌がる
(よく見える方の目が隠された場合の嫌悪反射) |
【弱視の治療方法】
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視力の発達が抑えられている期間の長さや程度によって、よくなる場合とならない場合があります。3歳くらいまでに見つかると、治る可能性があります。日ごろから子供の観察をして少しでも異常に気がついた場合は必ず眼科を受診しましょう。

- 遠視が原因の場合は遠視用のめがねをかけます。また、弱視の視力増強訓練を行います。
- 遮閉方法(しゃへいほうほう)を行います。遮閉方法とは、良い方の目を隠すことにより、弱視の目を無理に使わせようとする治療方法です。これは病院だけでなく、家庭でもずっと行わないといけないので、家庭の協力が必要になります。
- 4歳児以上では視能訓練士による器械を利用した訓練を行います。
斜視には2種類あり、片方の眼が内側に向いてしまう場合を「内斜視」、外側に向いてしまう場合を「外斜視」といいます。これに上下の視線のずれが加わっていることもあります。ぼんやりしていると現れ、しっかり物を見ていると消失するケースもあります。斜視は両眼の視線を合わせようとする脳の機能が悪いと起きたり、眼球を動かす筋肉に原因がある場合に起こります。その他に「内斜視」は遠視の影響で強い屈折調節が必要なために起こり、「外斜視」は片方の眼がよく見えない場合、その眼はよく物を見ようとしないので視線を合わせる必要がなくなるため勝手な方向を向いてしまうため起きます。
内斜視と仮性斜視(偽斜視)を調べるには?
確認方法 : ペンライトなどの光を正面から当てて角膜の反射を確認。 |
内斜視の場合 |
角膜の反射が瞳孔中央からずれる。 |
仮性斜視
(偽斜視) |
角膜の反射が瞳孔中央にくる。 |
※仮性斜視(偽斜視)とは?
小さくて鼻が低いと内側のまぶた(皮膚)が眼にかぶっているために、一見、斜視のように見えることがあります。これを仮性斜視〈偽斜視)といって、治療の必要はありませんが、斜視の疑いがある場合は、かかりつけの眼科医の診察を受けてください。
【斜視の治療方法】
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眼球を動かす筋肉の位置を手術でつけかえたり、筋肉の強さを調節して治療します。遠視による内斜視はめがねで遠視を矯正すれば治ります。
屈折状態は眼軸の長さとレンズである角膜・水晶体によって決定されます。眼軸の長さが長すぎたり(近視)短すぎたり(遠視)すると、遠くのものが網膜にピントが合わなくなります。これを屈折異常といいます。遠視はこの屈折異常のひとつです。遠視の見え方は、遠くを見るときも近くを見るときもはっきりと見えない状態です。このため、ものをぼんやりと見ることになると視力が発達せずに弱視になる場合があります。また、そのままピントあわせを行わないでものを見ていると、はっきりと見えないため、目はかなり内側によってしまい、遠視から斜視になる場合もあります(内斜視)。
【遠視の治療方法】
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- 中度以上の遠視や強度の近視・乱視があると、ものがはっきり見えないので、網膜から脳へ情報を伝える経路が育ちにくく弱視になりますので、遠視用のめがねによる矯正を行います。
近視は屈折異常のひとつです。遠方から目に入ってきた光が網膜より手前で像を結び物がぼやけて見える状態です。遠くのものが見えにくく、近くのものは見える状態です。(遠視は遠くのものも近くのものも見えにくい状態です)
近視の原因
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原 因 |
1 |
遺伝子的な要因
(親が近視の場合、子供も近視になる可能性が高い |
2 |
環境的な要因
(勉強、コンピューター、テレビ、読書など、近くをみる作業を長く続けること) |
3 |
乳幼児から始まり進行する病的近視
(網膜はく離などの症状を起こします。) |
【近視の予防と対策】
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- 正しい姿勢で勉強や読書をしましょう。(寝転んだりして作業しない)
- 1時間作業をしたら10分間休憩をする。(目を休ませる)
- 照明は明るすぎても暗すぎてもいけません。(読書は300ルクス、蛍光灯は15〜20ワット)
- コンピューターは40分以上続けないようにしましょう。
- 日ごろから遠くを見る、緑をみるようにしましょう。
- 栄養のバランスを考えて緑黄色野菜などを十分にとりいれた食事をしましょう。(うなぎも目にとても良い食べ物ですよ!)

【近視の治療方法】
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点眼薬を用いる治療方法は、近視になりかけの偽近視〈仮性近視)の時期に行います。一時的な近視は目の調節を休ませる点眼薬をしようする場合もあります。病的近視の場合は現在は有効な治療法がありませんが、網膜はく離や眼底出血などが起こらないように注意して、起きた場合は早急に手術する必要があります。
手術的にはエキシマレーザーによる角膜切除術などがありますが、当院では行っておりません。
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