80歳の壁は超えた 〜近況報告 2022晩秋〜

 

 

 

 今年2月に80歳の壁を超えた。無事傘寿を迎えられたことが何よりだ。心身とも多くの皆さんに支えられたお陰だが、とりわけ妻が日々美食を避けて健康食に徹してくれた成果だと密かに手を合わせている。タイミングよく3月に新聞で「80歳の壁」(和田秀樹著)の発刊を知った。「ラクして壁を超えて寿命をのばす」という文字に惹かれた。読んでみて「嫌なことを我慢せず、好きなことをしよう」「テレビを捨てて外に出て、光に当たろう」など80歳前後ならではの数々の考え方や生き方に共感した。高齢者医療現場が長い医師の言葉なので説得力がある。

 

3月末には長年の懸案だった妻の実家(廃屋:愛西市)を売却できた。6年前に不動産屋さんに依頼していたのだが、1月末に突然、買い手があり折衝中との電話が入った。半信半疑だった。建物が古く、市街地から離れている悪条件もあり、隣人に無償で引き取ってもらう提案をしても断られたくらいだ。不動産屋さんからは、これまでにも老人福祉施設への転用とか、撤去して集合住宅にする話などが進められたが挫折していたからだ。2月初めに契約を締結した後も、隣接する田地の農地転用の許可が条件になっていたので危ぶまれたが、何とか成立に至った。

この家は、生まれ育った妻はもちろんだが、私にとっても思い出が深い。室内で娘が祖父母と遊んだり、庭を三輪車で走ったりする姿が思い浮かぶ。廃屋となって10数年、維持管理に手こずった。日常的な郵便受けの管理、道路側の草木の処理、冬場の草木の伐採と防火措置、盗難後の処置など様々な手間がかかった。一方、フキノトウ、ミョウガ、ブルーベリー、ブラックベリー、グレープフルーツなど、手間をかけずに毎年収穫できた四季の恵みとの別れは辛い。

 

 8月にケータイからスマホに買い替え。私の場合はケータイで十分と考えていたが、あちこちにQRコードが氾濫するなど、スマホなしでは生きにくくなって決断した。2年前から妻のスマホで少し慣れていたので、設定など移行作業はスムーズにできたが、LINEとかPayPayの操作には何度も戸惑った。何しろ文字入力が不慣れなためイライラする。これからも画面が大きいパソコンを主体にメールや日程などを管理するのでスマホの使用頻度は少ないが、二刀流を目指し、徐々に目と手を慣らしたい。

 

お盆を過ぎて右腰痛が発症し歩行に支障があったため、腰痛では2年ぶり通算3回目の医者通いをした。X線検査の結果は脊椎管狭窄症の再発で、以前より少しずつ悪化しているとのことだ。老化に加え、テレビを見る姿勢の悪さが原因かもしれない。1か月間の薬の服用で、とりあえず痛みは消えた。今後は「壁ペタ伸ばし」(尺取虫)を手抜きなく継続して再発を防ぎたい。

 

最近、友人から薦められ「津島の歴史」(森平著)を読んでから、80歳の節目に郷土史を復習する気になった。「尾張津島見聞録」「海部・津島の歴史とくらし」「歴史散策 津島上街道」を通読すると、慣れ親しんだ津島と周辺の地図が、歴史を踏まえて立体的に浮かぶようになった。水郷の恵み(産物、運搬)と苦しみ(重労働、水害)、鎌倉時代以来の湊町としての繁栄と衰退、毛織物をはじめとする産業の変遷など、改めて考えさせられた。

廃川になった佐屋川と天王川の位置を想像すると、祖父の語り口が蘇ってくる。佐屋川が決壊1897鵜多須切れ)したとき濁流が家に流れたこと、家のすぐ西を流れる川(もと天王川)は舟や筏が行き来して燃料や木材などを荷下ろししていたこと、友人の移民の話をきっかけに17歳のとき単身でカリフォルニアに渡り5年ほど農場経営をして現在の家を建てたこと……。

鎌倉時代の津島村を改めてウォーキングのコースに採り入れた。新しい建物も多くなったが、昔ながらの迷路で寺が多くレトロ感が残っている。町名や表示板の説明を読みながら巡ると旅をしている気分だ。筏場、舟戸、橋詰、浦方など、昔の様子が浮かぶ町名が多い。津島の津も島も水に因んでいる。

 

菜園生活は、今年も思うようにいかなかった。ネットで入手したサンマルツァーノ(料理用トマト)は2本とも成長不良で収穫なし。ローゼルは発芽率が極端に悪かったうえ、そのうち5本は定植後に枯らし、生き残ったのは5本のみだ(昨年の1/6。今年も残暑が長引いて熱い秋となり、ラディッキオの結球が大幅に遅れている。丹波黒枝豆も、開花期の9月初めに台風11号に遭い、収穫量が大幅に減少した。茎カリフラワーの新品種ドルチェリモーネは、レモン色で生のままかじると歯触りがよく、ほんのり甘さも感じて今年のヒットだ。他にも順調に育ったものはある。思いどおりにならなかったものは、翌年へのチャレンジの種としたい。

 

コロナ禍は3年目に入ってオミクロン株が大流行し、知人も少なからず罹患したが、幸い夫婦とも何とかしのげている。来年度は約20年ぶりに町内の役員を務めることになりそうだ。和田医師の「歩かないと歩けなくなる」の至言に従い体調を維持し、世間の急激な変化にはもちろん、緩やかな変化にも目を凝らし、適応できる道を探っていきたい。80代らしく道草も楽しみながら。

 

   2022.10.30

 

 

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