禍中の平穏 〜近況報告 2020晩秋〜
この1年は、当たり前に思っていた平凡な日常の有り難さを痛感した年だった。世界的なコロナ禍は誰しもだが、そのうえパソコントラブルの連発、2度の腰痛再発、自転車事故の禍に直面したからだ。
昨年11月末、急にパソコンの迷惑メールが増えはじめ毎日必死に消去していたが、やがて数百通も届くようになりパニックになった。対策が尽き20年来使用してきたメールアドレスを、このHPで利用している地元のケーブルテレビのアドレスに変えた。まずは楽天、アマゾンなど数々の利用先の変更登録手続きが必要だが、不慣れのため無事完了するまでに手こずり、12月7日、やっと友人・知人らへの変更メールを送り終えた。以後迷惑メールは1通も届かず、いま思うと悪夢を見ていたようだ。その1週間後、今度は画面に不良サイトの画面が張り付いて消せなくなった。3月にはメールソフトOutlookが急に開けなくなり、メールの送受信ができなくなった。パソコンをWindows10
に替えたばかりで、未知のトラブルには自力で対処できず、近くの「パソコンドック24」に度々お世話になった。
12月下旬、歩くとき左腰に違和感があった。しばらく様子を見ていたら、2月には痛くてウオーキングができなくなった。病院での診断結果は5年前に発症した脊椎管狭窄症の再発だ。飲み薬や注射では効果がなく、初めてリハビリを体験した。内容は@腰に低周波A腰の牽引Bウオーターベッドの3種を週1、2回行うもの。要するに、背骨を支える背中と腰の筋肉をほぐし機能強化を図るのだ。1か月ほど通院して3月上旬には痛みが解消した。ところが8月下旬に、同じ左腰に再発した。原因はコロナ禍や梅雨時の運動不足による背筋(多裂筋)などの弱体化にありそうだ。ウオーキングとサイクリングはできるだけ続けているが、それだけでは不足のようだ。そこで、テレビで見た「壁ペタ伸ばし」とスクワット各10回を毎日3回試してみた。「壁ペタ伸ばし」とは、壁につま先を付け両手を上げて立ち、尺取虫のように胸を壁に接しながら5秒かけて屈んで静止するものだ。初めはきつかったが次第に慣れ、1か月ほどしたら腰痛が消えていた。今回は通院せず自力で快復できたのがうれしい。予防のために、今後も忘れず尺取虫になろう。
昨年の反省をもとに今年の年賀状で転倒防止をテーマに掲げたが、6月、アクシデントに見舞われた。定番コースのサイクリングの帰路、道路の段差で跳ねて着地した瞬間、愛用の折り畳み式ミニサイクルの節目近くの溶接部分が切り離され、体は崩れ落ちるように左に倒れ、膝、肘、頬の順で舗装の地面に打ち付けた。骨折はなく打撲と出血程度で留まったが、状況によっては危機一髪だった。
コロナ禍の4月に発せられた愛知県緊急事態宣言での外出、移動自粛要請は苦痛だった。突然、乗り物、買い物、外食などが制限され、食事会、ワイン会、旅行もすべてできなくなった。プロ野球や大相撲のテレビ中継もない。自分は何を楽しみに生きていたか、それが欠けたときの虚しさに改めて気づかされた。巣ごもり時期には、古本や古着の処分をしたり、これまでの海外旅行のビデオや旅行記を見直したりした。読書時間も増えた。未知の世界に想像の翼を広げられるのは、コロナ禍のおかげだ。図書館で借りた本ではミシェル・オバマ著「マイ・ストーリー」が、読みやすく読みごたえがあり、米国大統領選挙を前に夫婦で楽しめた。働き盛りの人たちに比べれば、通勤もなく収入減もない年金生活者は、コロナ禍の直接的な影響が少ない。私のような菜園生活者にとっては、春夏野菜の苗を入手するとき以外は、マスクも不要。日常のウオーキングとサイクリングや道草撮影も平常どおりだ。それどころか、自然の草木や野菜たちの、春から夏にかけての成長ぶりが、コロナ禍のストレスを和らげてくれた。
この地で4年目になる菜園生活は安定してきた。作物も年間ほぼ固定化し、ニューフェースは大粒落花生「おおまさり」ぐらい。採れたてを茹でると甘みも感じられて格別美味しい。菜園が家から近いので目と手が行き届き、3年前に続くフェンネルと赤系のラディッキオの発芽全滅以外は、失敗が少なかった。7月の長雨と日照不足、8月の猛暑と続いたが、いつになく台風の襲来を免れたことが幸いし、各作物はほぼ平年以上に収穫できた。菜園生活は全体にややマンネリともいえるが、散歩の方々から、この地区では珍しいアーティチョークやローゼルを見て関心を寄せていただき、少しは心の支えになっている。土の中に埋もれた落花生を連日食い散らしていく奴は何者か、疑問の種だったが、容疑者がカラスであることも、散歩中の目撃者のお言葉で明らかになった。
妻の実家が廃屋になって10数年、数日ごとに見回っているのだが、窓ガラスを割って泥棒に数回入られた。金目の被害はなくても、後始末が大変だ。雑草も生い茂り、秋には市から火災予防の警告文書が届く。手に負えず不動産屋さんに売却を依頼しているが反応はなく、今や負動産化している。この負担を次世代にまで残すことが心苦しい。
この1年も、身近なところでご不幸などがあった。長年小学校クラス会の幹事を共にした友人が、2度目の癌で他界した。病状について詳しく返信してくれた長文のメールが忘れがたい。姉が夏に2度目の脳梗塞を発症した。コロナ禍のため病院へのお見舞いもできない。初回は右手、今回は左足に障害が残ったが、今や日常生活ができるほどに回復したのは幸運だった。祖父、母ともに死因が血管系であり、私は癌よりも心筋梗塞か脳梗塞で倒れそうな気がする。運転免許証を2月に更新でき、用事も趣味もまだ続けられそうだ。もう少し家族や他の皆さんと苦楽を共にしたい。「死ぬこと以外、かすり傷」という大らかな心意気で。
2020.11.1
(エッセイ風) キッチンガーデンの楽しみ 愛しのプンタレッラ 自家製タバスコの試み 生野菜&ハーブ栽培 菜園生活の四季
菜園のニューフェースたち
腰痛と菜園生活 菜園生活の転機
新たな再園生活 「危険な暑さ」と菜園生活 令和元年の菜園生活